帝人(3401)は7月21日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した中間素材が、エアバスA320neoの主翼スポイラーに採用されたと発表した。帝人の炭素繊維はA380とA350にも採用されており、航空機向け製品を拡大する。
採用されたのは「テナックスDRNF(Dry Reinforcements Non-Crimp Fabrics)」と「テナックスDRBF(Dry Reinforcements Braided Fibers)」の2種類。DRNFは多軸織物(ノンクリンプファブリック、NCF)の一種で、表面が滑らかなことから母材となる樹脂がシート上で均一に浸透しやすいなどの特徴がある。
DRBFは炭素繊維原糸を三つ編み構造の組紐状にしたもので、伸縮性が高く、シート状中間材料を構成する複合材料製の航空機部品に生じる空間を埋める「フィラー材」の役割を担う。
A320neoの主翼スポイラーは、米スピリット・エアロシステムズが担当。英プレストウィックにある同社の工場で生産が進んでいる。2月28日からDRNFとDRBFに切り替わった。帝人によると、エアバスは生産性やコストなどを評価し導入に至ったという。
帝人は、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成」と位置付けている。今後、航空機向け製品の展開を拡大する。
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