エアライン, 官公庁 — 2020年7月19日 18:15 JST

ANA、旭川でドローン医薬品配送の実証試験 旭川医大と老人ホーム間運ぶ

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は7月19日、北海道旭川市でオンライン診療とオンラインでの服薬指導、処方された医薬品をドローンで患者の元に配達する国内初の実証実験を行い、報道関係者に公開した。経産省北海道経済産業局や国立旭川医科大学などと共同で、18日から2日間実施した。

旭川医大を出発し緑が丘あさひ園の庭に着陸するインスリンを積んだドローン=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

—記事の概要—
老人ホームへインスリン空輸
レベル4は22年実現へ

老人ホームへインスリン空輸

 今回の実証実験は、地方で遠距離の通院が困難な人に対し、リモートで診察から服薬までを行うためには、どのような課題があるかを探るためのもの。

インスリンが入った箱を積み旭川医大を離陸するドローン=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

 実験のシナリオは、旭川医大病院から約540メートル離れた特別養護老人ホーム「緑が丘あさひ園」に、80歳代後半の慢性糖尿病患者がいると想定。同医大の医師がオンラインで患者役の男性と対面し、その日の気分や血糖値などを問診した。その診療に基づいて糖尿病の治療薬であるインスリンが必要と判断し、同院内にある薬局に電子処方せんを送った。

 薬局では、薬剤師もオンラインで患者にインスリンの使用法などを指導。同時にドローンを使い、緑が丘あさひ園へ医薬品を空輸した。

 ドローンは同医大を離陸後、約4分で緑が丘あさひ園に到着。インスリンの入った箱が同園の看護師に手渡された。

レベル4は22年実現へ

 今回の実証実験に参加したドローン運航関係者は14人。「ドローンは操縦者の視界の範囲内での飛行」と規定する現行の航空法に従い、離陸地と着陸地に操縦者を1人づつ配置したほか、飛行経路には監視のための補助者6人も配した。

緑が丘あさひ園の看護師(右)にインスリンの入った箱を手渡すANAHDの運航担当者=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

 ドローン運航統括者を務めたANAHDで新規事業開発を手掛ける「デジタル・デザイン・ラボ」の信田光寿(のぶた・みつとし)さんは、「今回の飛行経路には道路があり、自動車などの通過の際には、補助員が監視してホバリングなどで回避しながら飛行した。(国の官民協議会は)2022年にはレベル4(有人地帯の目視外飛行)を目指すとされているが、こうした実証実験を繰り返すことで、ドローンの安全性を証明していきたい。そのことで(運航に携わる)人間の数も減らすことができ、事業化は可能になる」と話した。

 一方、実験を見守った経産省北海道経済産業局の安藤保彦局長は「北海道では高齢の患者さんが、遠くから病院へ診察にやって来る。オンラインの遠隔診療とドローンでの医薬品配送の組み合わせが実現できれば、患者さんにとって負担が大きく軽減されると思う。こうした試みを今後も続けたい」と、ドローン医薬品配送実用化への期待を述べた。

 今回の実証実験には、ANAHDと経産省、旭川医科大、緑が丘あさひ園のほか、旭川市とアインホールディングス、エアロセンス、トッパン・フォームズ、日通総合研究所が協力した。

*写真は7枚。

オンラインで患者役(画面左)の男性を問診する旭川医大の医師=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

インスリンが入った箱をドローンにセットするANAHDの運航担当者=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

インスリンが入った箱を積み旭川医大を離陸するドローン=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

緑が丘あさひ園に到着したドローンからインスリンの入った箱をはずすANAHDの運航担当者=20年7月19日 PHOTO: Masahiro TSUKAHARA/Aviation Wire

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全日本空輸

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