ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)は現地時間7月16日夜、運航を停止しているボーイング747-400型機をそのまま全機退役させる意向を明らかにした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、長距離路線の需要が早くても2023年までは2019年並みに回復するのが難しいため。
BAは747-100、747-200、747-400をこれまで運航してきた。747-400は2020年1-3月期(第1四半期)決算を発表した5月時点で、31機すべてを自社保有機として所有。従業員向けに全機を即時退役させる方針を示した。747退役後はエアバスA350型機やボーイング787型機で置き換える。
同社は1986年8月に747-400を16機発注し、1989年6月に初号機を受領。最終的に57機受領した。最後の発注は1996年9月の13機で、最終受領は1999年4月だった。2015年から2016年にかけては、当時あった42機のうち18機を対象に客室改修を実施しており、新仕様機の座席数は4クラス275席で、ファースト14席、ビジネス86席、プレミアムエコノミー30席、エコノミー145席だった。
国際線定期便就航100周年を迎えた2019年には、BAは3機の747-400に復刻塗装を施した。1機目はBOAC(英国海外航空)塗装を施した747(登録記号G-BYGC)で、2月19日から運航を開始。3月9日からは米ランドー(Landor)社がデザインした1980年代後半の塗装をG-BNLYに施した。同月21日からは、G-CIVBに1970年代後半のBOAC(英国海外航空)とBEA(英国欧州航空社)合併時のデザインが塗装された。
新型コロナの影響で、747の退役を前倒しする航空会社が増えている。同じく英国のヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)は、今年5月で7機の747-400をすべて退役済み。豪州のカンタス航空(QFA/QF)は、今月22日の747-400ERによる最終便でジャンボを退役させる。
経年機となった747-400だけでなく、エンジンが4基ある機体は燃費の問題で退役が進んでおり、エアバスA340型機や総2階建ての超大型機A380もコロナが契機となり、退役が前倒しになっている。エールフランス航空(AFR/AF)は、A380を6月26日の関係者向けフライトをもって退役させ、11年の歴史に幕を下ろした。
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