日本航空(JAL/JL、9201)は7月10日、成田-広州間のチャーター便を運航した。中国国内の工場を再稼働させるための長期赴任者などを対象にしたもので、現地の商工会が中心となって企画した。旅客扱いは成田発のみで、折り返しの広州発は貨物便として運航する。
—記事の概要—
・赴任者と家族159人利用
・定期便は羽田発着
赴任者と家族159人利用
広州チャーターにはボーイング787-9型機(登録記号JA874J、3クラス239席:ビジネス28席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー190席)を投入し、広州行きJL8875便は長期赴任者や駐在員らと、その家族159人(うち幼児0人)が利用。同便が出発した62番搭乗口では、利用客の密集を避けるため20人ずつのグループに区切り、搭乗手続きが進められた。JALの地上係員は乗客を1人ずつ検温し、体温が37.3度以下であることを確認した。
検温などに時間を要したため、同便は予定より10分遅い午前10時10分に成田を出発。同30分に離陸し、パイロット3人、客室乗務員9人で運航した。広州着は予定より20分早い午後1時25分となる見込み。
現地発は乗客を乗せない貨物専用便で、工業部品や衣類など22トンを運ぶ。このうち日本向けは1トンで、残り21トンは米国向けとなる。成田行きJL6768便は午後3時15分に広州を出発して、午後8時30分に成田へ戻る。
定期便は羽田発着
中国の航空当局CAAC(中国民用航空局)は、中国国内の工場再稼働に向けた商用チャーターに関するスキームを5月25日に示しており、広州チャーターもこれを活用。通常、中国路線は定期便を運航している航空会社がチャーター便を申請しても認可されないが、国際線運航の条件を定めた「FIVE-ONE政策」の期間中は認められる。同政策では、国際線の運航は航空会社1社につき1路線を1週間に1便のみに制限している。
JALの広州線は通常、羽田から旅客便を運航している。3月29日開始の夏ダイヤで、羽田-広州線(JL87/88)を787-8で1日1往復運航予定だった。同路線は旅客便としては運休しているが、貨物便を運航している。
現在運航するJALの中国路線は成田-大連線のみで、木曜のみ週1往復のみ設定している。7月11日からは土曜も増便し、週2往復となる。JALによるとチャーター便が成田発着となったのは、大連線の運航実績があることに加え、日本政府が中国と韓国から日本へ向かう便を成田と関西の2空港のみに制限していることも関係しているという。
広州を含む華南地区の日系企業には、広州に戻れない赴任者や新規赴任できない日本人が数多くおり、直行便の要望が寄せられていた。また、広東省や広州市とその周辺市の各政府も、日本などからビジネスマンを呼び戻したい意向を持っており、今回のチャーター便は広州市が認可した。広州到着後は14日間の政府指定ホテルや自宅での隔離が要請される。
JALの国際線は、7月から9月までは依然として計画の約9割が運休・減便となる。一方で7月3日からは成田-シンガポール線を往路週3便、復路週2便で再開。8月1日からは成田-ボストン線も再開し、羽田-ホノルル線は臨時便を運航する。
運航スケジュール(定刻)
JL8875 成田(10:00)→広州(13:45)*旅客便
JL6768 広州(15:15)→成田(20:30)*貨物のみ
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