羽田空港第3ターミナル(旧称国際線ターミナル)近くの新複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ、HICity)」が、7月3日に先行開業した。大半の商業施設は新型コロナウイルスの影響で今秋のオープンを予定しており、当初はオフィスや一部レストランなど限られた施設と、共用空間のみ利用できる。国際線エリアや滑走路を一望できる足湯もある。
HICityは京浜急行と東京モノレール各線の天空橋駅に直結しており、鹿島建設(1812)など9社が出資する羽田みらい開発(大田区)が整備。開業記念式典は9月を予定しており、2022年のグランドオープンを計画している。「先端産業」と「文化産業」を中心とした地上11階・地下1階の複合施設で、敷地面積は約5.9ヘクタール、延床面積が約13万1000平方メートルとなる。
3日から営業を始めた商業施設は、ブルワリー&レストラン「羽田バル」と、コンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」。オフィスや会議研修施設「コングレスクエア羽田」などもオープンしたが、多くの施設は9月以降の開業となる。
先端産業分野では、デンソー(6902)が自動運転技術を開発・実証する「先端モビリティセンター」と、大田区が提供する「区施策活用スペース」などがオープンする。このほか水素ステーションも備え、先端モビリティや健康医療、ロボティクスなどを研究する開発拠点もあり、3日から5日までは、BOLDLY(ボードリー、旧SBドライブ)が手掛ける自律走行バスと、WHILL(横浜市)の自動運転車いす「WHILL自動運転システム」の試乗コーナー、掃除ロボットのデモを実施。3日は、大田区の松原忠義区長らが試乗した。
文化産業分野は、ライブホール「Zepp Haneda」と、日本食や伝統工芸などの文化が体験できる「文化体験商業施設」、日本空港ビルデング(9706)が提供する、最新のテクノロジーで日本文化を体験できる「体験型商業施設」、遊具を配置した芝生広場「ARTIST VILLAGE」、足湯を楽しめる「足湯スカイデッキ」がオープンする。足湯スカイデッキは、国際線エリアや、4本ある滑走路のうちA滑走路とB滑走路を離着陸する航空機を眺めながら過ごせる。
また、羽田空港第1ターミナル5階の「THE HANEDA HOUSE」内に本店を構えるフライトシミュレーター体験施設「LUXURY FLIGHT(ラグジュアリーフライト)」が、日本初となる戦闘機のフライトシミュレーター体験型施設をオープンする。
グランドオープンは2022年を計画し、東邦大学が医療研究施設を開設する「先端医療研究センター」と、日本の芸術文化を発信する「アート&テクノロジーセンター」がオープンするほか、ロボティクスの開発拠点も全面開業する。
開発を進める羽田みらい開発には鹿島建設のほか、大和ハウス工業(1925)と京浜急行電鉄(9006)、日本空港ビルデング、空港施設(8864)、JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)、東京モノレール(港区)、野村不動産パートナーズ(新宿区)、富士フイルム(4901)の計9社が出資。HICityの設計と施工は、鹿島建設と大和ハウスが担う。
HICityは2つある羽田空港の跡地のうち、第1ゾーンに設置。国有地を大田区が購入し、区が2070年までの50年間貸し付けている。もう1つの第2ゾーンは、第3ターミナルに直結する複合施設「羽田エアポートガーデン」で、住友不動産(8830)と子会社の羽田エアポート都市開発が開発を進め、夏ごろの開業を予定している。
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HANEDA INNOVATION CITY
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