中国から拡散した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、各空港の路線網に大きく影響を与えている。国際線は各社とも運休が続く一方、国内線は6月19日からの都道府県をまたぐ移動の自粛緩和などにより、回復の兆しも見せている。
6月の成田空港も大きな影響を受け、成田国際空港会社(NAA)が29日に発表した1日から20日までの旅客便速報値によると、国際線の発着回数は前年同月比84.3%減の1556回、出国旅客数は98.4%減の1万3500人となった。国内線の発着回数は88.2%減の344回。旅客数は月次集計のため未算出だが、前年を大きく割り込んでいるのが確実とみられる。
NAAの田村明比古社長は6月29日、国際線の需要回復について「世界各国から安心して訪日客を受け入れ、出国者を海外に送り出すのには、検査体制の拡充など国際的にしっかりとした枠組みが必要」との認識を示した上で、「航空需要との兼ね合いで、相当時間がかかると覚悟している」と述べた。
成田に就航する航空各社をみると、競争激化のほか新型コロナによる渡航制限や需要急減により業績がさらに悪化したことで、タイのLCCノックスクート・エアライン(NCT/XW)は会社を清算。一方で、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は8月1日に成田発着の国内2路線を開設するなど、明るい話題もみられた。
ノックスクートは運休前、バンコク(ドンムアン)-成田線を週11往復運航していた。田村社長は同社の清算について、「大変残念。需要が回復した場合には復活していただきたい」とし、タイは重要市場だとの認識を示した。
ピーチは8月1日に釧路線と宮崎線を開設。また、既存の奄美線を繁忙期に増便するなど、国内線の拡充に力を入れている。田村社長は「国内線は大きな第2波などが起きない限り、徐々に回復していく」と述べ、成田初となる釧路などのひがし北海道地域の路線や、首都圏からは航空が主要手段となる九州への新路線を歓迎するとした。
日本の玄関口である成田空港の、早期の需要回復に期待したい。
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成田国際空港
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