日本航空(JAL/JL、9201)は、新型コロナウイルスの影響で社員のテレワークが増加したことなどから、夏期賞与と同時期に支援金を支給する方針を固めた。支給額は各社員の実績や所属企業により異なり、1人あたり最大15万円程度になる見通し。JALグループの社員は約3万6000人で、総額50億円規模を見込む。一方、植木義晴会長と赤坂祐二社長の夏期賞与は、業績連動型のため支給されない。ほかの役員も7割減として経営陣の結果責任を示しつつ、賞与が半減する社員のモチベーションを高め、需要回復期の反転攻勢に向けて足もとを固める。
JALは新型コロナウイルスの影響で国際線の9割、国内線は最大7割が運休・減便する事態になり、7月3日に支給を予定している社員の夏期賞与は半減させる方針を労働組合に提示済み。同社の賞与は、夏と冬に基本給2カ月分ずつ、期末は営業利益に連動した額になるが、業績が悪化していることから夏期は半減させる。
一方で、テレワークの増加により通信費や自宅のネットワーク環境を整えるといった社員の自己負担が増えていることから、夏期賞与とともに支援金を支給する方針。社員のテレワーク対応を支援することが主な目的だが、感染リスクが高まる中で働く社員を慰労する狙いもある。
役員報酬は、固定の基本報酬が支給額の50%を占め、過去1年間の業績連動型賞与「年次インセンティブ」が30%、3年間の業績に基づき株式で支払う報酬「長期インセンティブ」が20%を目安としている。
植木会長が社長時代に導入した仕組みで、業績目標通りに達成した場合の支給額を100とした場合、達成度に応じてゼロから2倍程度の間で変動する。2019年度は、2020年1-3月期に新型コロナの影響を受けたことから、植木会長と赤坂社長は支給額をゼロとする。新型コロナによる大幅な減収は経営側の判断ミスによるものではないが、経営陣は結果に責任を持つべきとする経営トップの考えによるもの。
7月の国際線は、計画していた60路線4898便のうち、93%にあたる60路線4540便を運休・減便。減便率は6月の96%から3ポイント改善した。今後は国や地域でビザ発給の動きがみられることから、復便も検討していくが、早期回復は難しい状況だ。
国内線は6月19日に都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことから、需要の回復傾向がみられる。15日から30日までは計画の54%の便を運休・減便していたが、28日から7月4日までは49%、5日から12日は46%、13日から16日は47%と、段階的に減便対象を減らし、7月は半数を超える便数を運航する。
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)も、社員に支給する今夏の一時金を例年の半分に減額する方針を固め、労組に提案している。
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日本航空
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