全日本空輸(ANA/NH)は6月15日夜、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの感染拡大を防止するための機内消毒作業を、羽田空港で報道関係者に公開した。機内ではテーブルなどをアルコールで拭き上げ、感染症の拡大防止に努める。
ANAはアルコールを使用した機内消毒を、国内線は1日の運航終了後に実施。国際線は機材が日本へ帰着後に加え、6月1日からは現地着後も順次始めている。機内では客席のテーブルやひじかけ、オーバーヘッドビン(頭上の手荷物収納棚)、ラバトリー(化粧室)のドアや便器のふたなど、乗客の手が触れる部分をアルコール消毒している。また、客室乗務員が使用するギャレー(厨房設備)も消毒する。
今回公開したのは、定刻午後9時30分に羽田へ到着する那覇発NH476便(ボーイング787-8型機、登録記号JA812A)の機内清掃。同便に投入した787-8は2クラス335席(プレミアムクラス12席、普通席323席)で、291人(うち幼児4人)が利用した。
すべての乗客が降機後の午後9時50分ごろ、清掃を担当するANAのスタッフ5人が機内に入り、清掃作業を進めた。機内では座席や床などを通常通り清掃し、すべての清掃が終わったらアルコール消毒に移る。各座席のテーブルはアルコールを湿らせた布で拭き上げてから畳むため、清掃終了時には畳まずに開けた状態にした。
ANAの機内清掃は1機につき5人程度で進め、作業の進み具合によりほかの機体から応援が来ることもあるという。大型機の777や小型機の737など機材により差はあるものの、1機につき30分程度で終了する。羽田着後のNH476便の機内は、途中からスタッフが5人増え、10人体制で清掃と消毒を進めた。
清掃を担当するANAのスタッフは、新型コロナ以降の機内清掃について「やることは増えた」と話しながらも、慣れた様子でアルコール消毒を進めていた。
ANAは6月に入り、マスク未着用や発熱など体調不良と判断された場合、搭乗を断る場合もあると明確に示しており、乗客に対するマスク着用も要請ではあるものの強く求めている。チェックインカウンターにビニールカーテンを設置するなど、自社の取り組みを「ANA Care Promise」と命名。感染症拡散の防止策をまとめた動画には、ANAの平子裕志社長自ら出演しマスク着用を呼びかけるなど、告知を強化している。
*写真は11枚。
*JALの機内消毒作業はこちら。
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ANA Care Promise
全日本空輸
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