国内の航空会社では、6月に入り新型コロナウイルス対策の強化と同時に、路線再開や臨時便の設定といった動きが国内線でみられ始めている。全日本空輸(ANA/NH)をはじめとするANAグループは、乗客にマスク着用や手指の消毒、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離)の確保によるほかの利用者との間隔をあけることなどに協力を求めている。
マスク未着用や発熱など体調不良と判断された場合、搭乗を断る場合もあるとしており、乗客への要請ではあるものの強く求めており、「ANA Care Promise」と名付けて告知も強化している。空港や機内が今どうなっているのかを取材した。
羽田空港を訪れると、チェックインカウンターにビニールカーテンが設置されていた。以前取材したフェイスガードは地上係員に1人一つずつ支給されており、マスクとともに使用している。いずれも飛沫感染を防ぐことが主な狙いだ。
羽田に限らず、ANAでは空港の入口や自動チェックイン機付近、自動手荷物預け機付近、保安検査場、搭乗口に消毒液などを順次設置しており、利用者にもこまめに消毒してもらうことで感染の可能性を最小化しようとしている。また、自動チェックイン機は1台おきに稼働させ、極力乗客同士の距離が近づかないようにしていた。
保安検査場前には、国土交通省航空局(JCAB)の指示で検温用のサーモグラフィーが設置されており、ここで発熱の傾向がみられた際は、地上係員が応対することになる。
国内線の搭乗口に進むと、床には乗客が並ぶ位置が示され、自然と間隔をあけて並んでいた。国内線で日本人の乗客が大半であるせいか、乗客はみなマスクをしていた。ANAなどが加盟するIATA(国際航空運送協会)も機内でマスク着用を推奨しており、今後はマスクに対してネガティブな印象を持つ国の利用者も着用することが期待される。
機内では、客室乗務員がマスクと手袋を着用して乗務。ドリンクサービスはお茶をトレーに載せて客室を巡回し、乗客自身が手に取る方式に変更することで、感染予防につながている。子供向けにはリンゴジュースやおもちゃを同じくトレーに載せて配っていた。
座席のポケットを見ると機内誌は置かれておらず、希望する場合は客室乗務員に持ってきてもらうようになっている。また、機内販売も中止しており、新型コロナウイルス感染拡大前とは大きく変わった。
乗客が機内で気になるのは、このところ盛んに報じられている空気の清潔さよりも、テーブルや不特定多数の人がさわる可能性があるラバトリー(化粧室)の扉などではないだろうか。客室内はおおむね3分程度で空気が入れ替わることや、巡航中は新型コロナウイルスがほぼ存在しないとされる高度を飛ぶため、問題はなさそうだ。実際、IATAの非公式調査でも乗客同士の感染事例はない(客室内の空気に関する記事はこちら)。
ANAでは、6月3日から便間に客室乗務員がラバトリーの扉などの消毒を始めた。6月中には、乗客からの要望に応じてアルコールシートなどを用意するという。
*写真は23枚。
関連リンク
全日本空輸
新型コロナウイルス感染拡大の予防に関する取り組み
7月のドリンクサービス
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ANAの新型コロナ対策
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動画で説明(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ANA 777のHEPAフィルターはどこにある? 客室は手術室並みの空気実現
他社の新型コロナ対策
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