6月に入り、航空各社の国内線は徐々に旅客数が増え始めている。日本航空(JAL/JL、9201)では、こうした需要増加に向けて新型コロナウイルスへの対応を強化。空港のチェックインカウンターには、乗客と係員の間に飛沫感染防止用の透明なアクリル板を設け、床には停止線をテープで示してソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)に対応している。
こうした対応に先行し、JALでは機内の消毒を実施。国内線は1日の運航終了後、国際線は機材が日本へ帰着後、客席のテーブルやひじかけ、個人用画面やコントローラー、オーバーヘッドビン(頭上の手荷物収納棚)、ラバトリー(化粧室)のドアノブや蛇口のとって、便器のふた、ゴミ箱のふたなど、乗客の手が触れる部分をアルコール消毒している。
JALグループでグランドハンドリング(地上支援)業務を担うJALグランドサービス(JGS)は、貨物の搭載や機体の誘導といった業務のほか、客室の清掃も手掛けている。JGS東京支店整備サービス部の芝真臣(まさおみ)さんに、消毒作業について聞いた。
芝さんによると、国内線を飛ぶ大型機エアバスA350-900型機(3クラス369席)の場合、10人のスタッフで清掃と消毒作業を1時間弱でこなすという。小型機のボーイング737-800型機(2クラス165席)は6人から8人で清掃と消毒を行う。
消毒作業は先に清掃を終え、従来は洗剤による拭き掃除だった工程をアルコール消毒に変えて作業範囲を広めた。消毒に使用しているアルコールは口に触れても問題のないもので、消毒箇所や頻度などに応じアルコールを吹き付けるシートを交換して消毒している。
芝さんは「テーブルを一つずつ出さないといけないので、最初は数をこなすのが大変でしたが、座席はしっかりやらないと、という意識があります。女性のスタッフは手荷物収納棚が高いところにあるので大変そうですね」と話す。
客席や手荷物収納棚、ラバトリーを消毒した芝さんは、客室乗務員がドリンクなどを準備するギャレー(厨房設備)へ向かった。テーブルや収納棚、カートを固定するターン・リテーナーなどを消毒していた。ラバトリーとギャレーでは、ゴミ箱のふたも消毒していた芝さんに理由を尋ねると、「ここは大丈夫かな?よりも安心につながります」と、細かい部分でも消毒するという。乗客が立ち入らないギャレーについても、「客室乗務員からお客様に感染する可能性もゼロではないので」と、さまざまな可能性を考えて消毒している。
機内の空気はおおむね2-3分で入れ替わり、消毒作業も行われているが、JALでは6月13日からは希望する乗客に除菌シートを用意。搭乗時も乗客を20人程度に分けて機内へ案内するなど安心を提供することで、利用者の不安を払拭していく。
*写真は23枚。
*ANAの機内消毒作業はこちら。
関連リンク
JALコロナ対応総合ページ
日本航空
JALと新型コロナウイルス
・JAL、搭乗口で乗客区切り間隔確保 カウンターに飛沫感染防止アクリル板も(20年6月1日)
・JALグループ、21年度採用中断 内定者は雇用へ、パイロットは継続(20年5月27日)
・JAL国内線、6月も72%減便 運休38路線(20年5月20日)
・JAL、羽田空港で献血協力 テレワークで都内の企業献血減(20年5月19日)
・9割運休のピンチをチャンスに JALのCA、iPadとZoomでテレワーク教育(20年5月18日)
・JAL、6月の国際線96%減便 貨物専用便は1000便運航(20年5月14日)
・空港で感染防げ! JAL整備士、端材でフェイスシールド自作(20年4月20日)
写真特集・JAL A350-900公開
(1)ファーストクラスはゆとりある個室風
(2)クラスJは新レッグレストで座り心地向上
(3)普通席も全席モニター完備
(4)大型モニター並ぶコックピットや落ち着いたラバトリー
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・JAL A350那覇就航 羽田行き初便JL902便出発と離陸
・JAL A350 訓練飛行中の機内(ファーストクラス、成田→新千歳)
・JAL A350 成田離陸(機内から見た訓練飛行)
・JAL A350の機内(ファーストクラス→クラスJ→普通席)
ANAの機内消毒作業
・787は10人、30分できれいに ANA、アルコールで機内消毒(20年6月16日)