三菱重工業(7011)の完全子会社「MHI RJ アビエーショングループ(MHIRJ)」が現地時間6月1日発足した。カナダのボンバルディアからリージョナルジェット機「CRJ」の事業を買収したことで立ち上げた新会社で、CRJシリーズの保守やカスタマーサポートなどを担う。
本社はボンバルディアがCRJ事業を展開してきたカナダのケベック州モントリオール近郊のミラベル。オンタリオ州トロント、米国のウェストバージニア州ブリッジポートとアリゾナ州ツーソンのCRJに関するサービスやサポートの主要拠点も引き継いだ。
MHIRJグループは、カナダのMHI RJ アビエーションULC、米国のMHI RJ アビエーションInc、ドイツのMHI RJ アビエーションGmbHの3社で構成。買収完了により、MHIRJはCRJシリーズの保守、カスタマーサポート、改修、マーケティング、販売機能、型式証明などの知的財産を継承した。
CRJは「Canadair Regional Jet(カナディア リージョナル ジェット)」の略で、全世界で約1900機が引き渡されている機体。ブラジルのエンブラエルが覇権を握る前は、航空各社の主力リージョナルジェット機だった。
現行機はCRJ700(1クラス74席)と、これを3クラス50席にしたCRJ550、CRJ900(1クラス90席)、CRJ1000(1クラス104席)の4機種。日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)グループで地方路線を担うジェイエア(JAR/XM)がCRJ200(1クラス50席)を、アイベックスエアラインズ(IBEX、IBX/FW)がCRJ200(同)とCRJ700(1クラス70席)を運航していたが、両社ともCRJ200は退役済みで、国内で運航中の機材はIBEXのCRJ700のみ。
一方、三菱重工は子会社の三菱航空機が開発しているリージョナルジェット機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」について、人員半減や量産機の製造中断など計画を大幅に見直している。
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MHI RJ Aviation Group
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