緊急事態宣言が全国的に解除される一方、集団感染が発生している福岡県北九州市では北橋健治市長が「第2波のまっただ中にいる」と述べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は収束したとは言えない状況だ。一方で、これ以上経済活動が停滞することは国民生活や企業に甚大な影響が及ぶ。航空各社でも、6月からは徐々に運航便数を増やしていく方向で、同時に機内や空港の清掃や消毒徹底、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を考慮した対応がみられる。
乗客側の対応として、空港や機内でのマスク着用が挙げられるが、国内の航空会社ではどの程度の温度感で乗客にマスク着用を求めていくのか。日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)、スカイマーク(SKY/BC)、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)、エア・ドゥ(ADO/HD)、ソラシドエア(SNJ/6J)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)、春秋航空日本(SJO/IJ)、エアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)、フジドリームエアラインズ(FDA/JH)の国内11社に聞いた。
結論から述べると、海外の航空会社のようにマスク着用を「義務」とする航空会社はなかった。「必ず着用」とするANAやエア・ドゥなども、あくまでも要請だ。マスクを着用していない人に強くお願いするとはいえ、約款などとの関係もあり義務と言い切れないとみられるが、仮に未着用で搭乗しても乗客同士のトラブルに発展するおそれもあり、義務か否かではなく当面はマスクを着用することが乗客自身の身を守ることにつながると言えるだろう。
国内の航空各社が加盟する業界団体「定期航空協会」では、5月14日に「航空分野における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表。全国空港ビル事業者協会と共同で作成したもので、乗客に対するマスク着用については「旅客に対してマスク着用を要請すること(幼児及び着用が難しい理由のある旅客を除く)」としている。
本音としては各社とも海外のように「義務」としたいものの、さまざまな事情から要請にとどめ、乗客側の理解を得るという状況のようだ。幸い、欧米と比べて日本ではマスクの着用に抵抗感が少ない。世界の航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)では、機内の空気は3分程度ですべて入れ替わることから、乗客や乗員のマスク着用を効果的な感染防止策として推奨しており、こまめな手洗いやマスク着用などが乗客自らの身を守ることにつながると言えるだろう。
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