チリのラタム航空(LAN/LA)を傘下に持つラタム航空グループは現地時間5月26日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用を、ニューヨークの連邦破産裁判所に申請したと発表した。運航は継続し、再建手続きを進める。
事業再編の対象にはチリとペルー、コロンビア、エクアドルの子会社も含まれる。今後は旅客・貨物便の運航や従業員への給与支払いなどを継続し、組織再編を進める。グループのロベルト・アルボCEO(最高経営責任者)は、中国から拡散した新型コロナウイルスの影響により困難な決断をせざるを得なかったと説明。コロナ後の未来を見据え、利用客と従業員を最優先するとした。また、今回の申請は清算手続きではなく、他社とは異なると強調した。
ラタムはチリのラン航空(LAN/LA)とブラジルのTAM航空(TAM/JJ)による新ブランドで、2016年5月から展開。両社は2012年7月に提携し、統合の一環として新ブランド名「ラタム(LATAM)」を2015年8月に発表した。1997年にはラン航空が、2006年にはTAM航空が、ニューヨーク証券取引所にそれぞれ上場している。
今年5月1日には、それまで加盟していた航空連合のワンワールド・アライアンスを脱退。7日にデルタ航空(DAL/DL)との共同事業(JV)合意を発表し、南北の米大陸路線で展開する。
新型コロナウイルスの影響により、経営破綻する航空会社が相次いでいる。4月21日にはヴァージン・オーストラリア(VOZ/VA)を傘下に持つヴァージン・オーストラリア・ホールディングスが、日本の民事再生手続に当たる「任意管理」に入った。タイ国際航空(THA/TG)は5月19日に、申請した破産法に基づく会社更生手続きをタイ政府が承認したことで、事実上の経営破綻となった。
南米では5月10日に、コロンビアのアビアンカ航空(AVA/AV)を傘下に持つアビアンカ・ホールディングスが、米連邦破産法11条の適用をニューヨークの連邦破産裁判所に申請している。
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LATAM Airlines
新型コロナで経営破綻
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