日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する国際線中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は5月21日、旅客機を使った貨物専用便として成田-バンコク(スワンナプーム)線の運航を、6月3日から始めると発表した。週4往復で往復とも貨物を搭載する。当初は5月14日に1路線目のバンコク線を就航させる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で旅客便を開設できないことから、貨物搭載スペースがひっ迫している同路線の貨物専用便として運航を始める。旅客便の就航時期は、決定次第発表する。
*初便の記事はこちら。
ZIPAIRの機材はボーイング787-8型機。今回の貨物専用便では客室に貨物は積まず、床下の貨物室のみ搭載する。日本とタイを結ぶ旅客便の運休や減便により、航空貨物を運ぶスペースが不足していることから、787を使った貨物専用便を運航することにした。今回の就航に合せて、親会社のJALと貨物事業のコードシェアを始める。
787-8は貨物室に最大45トンの貨物を搭載できるが、今回の専用便では飛行距離や燃料の重さなどを考慮して1便あたり最大20トン搭載する。ZIPAIRによると、日本とタイ双方から自動車部品などの需要が見込めそうだという。
運航日は水曜から土曜までの週4往復。運航スケジュールは、バンコク行きZG51便が成田を午後5時20分に出発し、午後10時に着く。折り返しの成田行きZG52便は1時間30分後の午後11時30分にバンコクを出発して、成田には翌日午前7時45分に到着する。
ZIPAIRの西田真吾社長は「私たちなりに今できることを考え、航空会社としての第1歩を貨物専用便として歩み始めることにした」と述べている。
ZIPAIRは、2路線目の成田-ソウル(仁川)線はを7月1日に開設予定だが、現時点で航空券発売の見通しが立っておらず、バンコク線とどちらが最初の旅客便になるかは決定していない。今年度は2機の787-8で運航を計画しており、座席数は2クラス290席でフルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。
アジアへ就航後はハワイや米国西海岸への就航を目指しており、米国運輸省(DOT)へは成田-ホノルル線の開設を申請済み。ホノルル線は10月25日に始まる2020年冬ダイヤからの就航を目指している。
運航スケジュール
ZG51 成田(17:20)→バンコク(22:00)運航日:水木金土
ZG52 バンコク(23:30)→成田(翌日07:45)運航日:水木金土
関連リンク
ZIPAIR Tokyo
日本航空
初便は貨物専用便
・ZIPAIR就航 JAL系LCC初便は貨物専用便、翼振り成田からバンコクへ(20年6月3日)
ハワイ就航目指す
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ZIPAIRの787
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就航延期
・ZIPAIR、就航延期 新型コロナ影響で(20年4月9日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ
写真特集・ZIPAIR 787-8の外観
・白い機体に安全運航示すグリーンのチートライン
機内お披露目と将来計画
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・ZIPAIR、ハワイも有力 西田社長「マーケット大きい」(19年12月19日)
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・写真特集・ZIPAIR 787初号機成田到着(19年10月28日)
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