成田空港に隣接する航空科学博物館のクラウドファンディングによる資金調達が、目標額の1000万円を5月16日に突破した。13日正午の開始から4日目で達成したが、現在は臨時休館が続いており、再開時期が今後決定しても例年並みの来館者数に戻る時期を見通せないといった不安が残る。
「初めてクラウドファンディングを使ったので手探りでしたが、温かい支援は非常にありがたいです」と、本紙の電話取材に応じた同館の担当者は喜ぶ。目標額をクリアして当面の存続危機は脱したが、予定通り7月31日まで出資を募るという。
理由は先行きの不透明さだ。ここ数年は来場者数が年間20万人程度で推移していたが、新型コロナウイルスの収束後、この水準にいつ戻るかが見通せない。国が公表した「新しい生活様式」では対人距離の確保などを挙げていることから、これまでと同じように博物館を運営できるかも今後の議論になる。そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再び流行することになれば臨時休館を迫られる。
新型コロナの影響で3月2日から23日まで臨時休館となり、翌24日から再開したものの、4月9日から再び臨時休館している。入館者数は前年比で9割減となり、入館料や売店、レストランの売上がほぼゼロになったという。
クラウドファンディングはインターネットを介し、不特定多数の人々から少額資金を調達する仕組み。同館はクラウドファンディングを手掛ける「CAMPFIRE」のウェブサイトを使い、支援額は3000円と5000円、1万円、3万円、5万円、10万円、30万円、50万円、100万円の9種類設定した。
出資による特典「リターン」は、3000円の場合は有効期限のない招待券を1枚、30万円出資すると、ボーイング737 MAXのフライトシミュレーターを1時間貸切で利用できるなどの特典を用意した。1万円の支援は当初用意したリターンがすぐ上限人数に達したため、博物館記念メダルと有効期限のないペア招待券などリターンを変更して再び募っている。
集まった資金は、同館の運営や展示物・建物の修繕費用として活用していく。
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航空科学博物館
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