全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、新型コロナウイルスの影響により、今年度末となる2021年3月時点の旅客需要は前年度の5-7割程度にとどまると見込んでいる。機材計画については、今年度に計画している受領時期を後ろ倒しし、退役が決まった機材は計画通り退役させる予定だ。
今年度内に受領予定の機材は、エアバスA380型機が1機、ボーイング787-9型機が5機、A321neoが7機。このうち、A380は全3機のうち最後の受領となる3号機(登録記号JA383A)で、当初は4月に受領予定だったが半年程度延期となっており、現時点で明確な受領時期が決まっていない。
一方、2月25日に公表した787の追加発注については、ANAHDによると現時点で発注内容を見直す予定はないという。ANAHDは超長胴型の787-10を11機、長胴型の787-9が4機の計15機を確定発注し、5機の787-9をオプション発注(仮発注)した。2022年度から2025年度にかけて受領を計画しており、787-10は国内線、787-9は国際線に投入する。エンジンはANAの787では初めてGE製GEnx-1Bを選定し、追加発注分はすべて同エンジンとなる。
今年度内の退役予定機材は、737-700と737-500が3機ずつ、777-200と767-300、貨物機の767-300BCFが各1機ずつの計9機。このうち、737-500は在籍する全機が6月までに退役となる。
4月28日にオンラインで決算発表したANAHDの福澤一郎常務執行役員は、「機材計画はより保守的にしていく」と語った。また、このところ大規模な拡大基調が続いてきた国際線の新路線については、「影響を見極めながら、見直しは避けられない」と軌道修正の可能性を示唆した。
ANAHDによると、「退役の前倒しは検討の一つだが決まったものはない」としている。一方で、ANAは国際線と国内線の客室改修を進めており、一部の機材は導入時期を見直すことでキャッシュアウトを抑制する。
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