シンガポール航空(SIA/SQ)は、旅客機に貨物のみ搭載する貨物専用便を、シンガポール-成田線などで運航している。中国から拡散した新型コロナウイルスの影響で、旅客便の大量運休が発生する一方、増加傾向がみられる貨物需要に対応するためのもので、中国路線では客室への貨物搭載も始めた。
旅客機での貨物専用便は、成田線のほか北京と上海、広州、香港、ジャカルタ、ハノイ、ホーチミン、アムステルダム、バルセロナ、ロサンゼルスの計11路線で運航。成田線は通常1日2往復運航し、いずれも貨物専用便として運航している。3月29日から始まった夏ダイヤ期間では、5月15日までに26往復52便の運航を予定する。
また、旅客機での貨物専用便のみでは容量が不足していることから、客室への貨物搭載も開始。医療品などの小さな貨物を客席に搭載する。
シンガポール航空は、シンガポール民間航空庁(CAAS)から4月上旬に認可を受け、客室への貨物搭載を開始。4月8日の上海発シンガポール行きSQ833便で始めた。
現在、客室への貨物搭載は上海線の1路線のみ。今後、旅客機での貨物専用便を運航する成田線など10路線にも拡大する。
航空各社では、旅客機での貨物専用便の運航や、旅客機から貨物機への改修などにより需要増への対応を図っている。
シンガポール航空は、希望する客室乗務員を「ケア・アンバサダー」としてシンガポール市内の病院へ派遣する取り組みを開始。新型コロナウイルスにより医療従事者の負担が増大する中、応急処置や接遇などのスキルを役立ててもらうもので、派遣先の病院では看護師の監督の下、食事補助や家族との面会管理など医療技術を伴わない業務を担っている。
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シンガポール航空
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