全日本空輸(ANA/NH)は4月2日、同社の機長が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日に神奈川県内の保健所から、機長がPCR検査で陽性反応が出たと連絡があった。保健所は、同乗した乗客やパイロット、客室乗務員などに濃厚接触者はいないと判断した。機長は3月14日から17日にかけてニューヨーク路線に乗務。ANAによると、帰国から17日が経過した現時点で、同乗のパイロットや客室乗務員に体調不良を訴える人はいないという。
感染した機長は50代男性で、神奈川県在住。3月14日の成田発ニューヨーク行きNH10便(ボーイング777-300ER型機、登録記号JA797A、乗客83人)と、16日のニューヨーク発羽田行きNH109便(777-300ER、JA796A、乗客89人)に乗務し、17日に帰国した。
機長は翌18日から現在まで休暇を取得中。18日にのどの痛みが出始めて19日に発熱し、23日に地元の病院で診察を受けた。26日に気管支炎と診断された後、30日に肺炎と診断されてPCR検査が実施され、4月1日に陽性反応が出た。
NH10便とNH109便は、交代要員を含めて1便あたり3人のパイロットが乗務。保健所は、一緒に乗務したパイロットも濃厚接触者と判断しておらず、体調不良も訴えていない。
陽性反応の報告を受けた後、ANAでは機長が乗務した機体の消毒を実施。2日にパイロットに対して注意喚起を実施した。すでに全社でマスクの着用や手洗い、体調管理、人混みを避ける、海外渡航の中止や延期といった行動を徹底しているという。
航空機の機内は閉鎖された空間だが空気は2-3分ですべて入れ替わる構造になっており、空気の清潔さを保つため、大きさ0.3マイクロメートルの粒子の99.97%以上を捉えられる「HEPA」フィルターを装備している。ANAによると、コックピットと客室のエアコンは別系統になっているという。
一方、3月30日に米国の事業所で管理部門の社員がPCR検査の結果、陽性反応が出た。利用者と直接接点はないが、現地の保健所は同じ職場のスタッフ3人を濃厚接触者と判断し、3人は自宅待機している。
日本の航空会社では、2月に日本航空(JAL/JL、9201)の客室乗務員が新型コロナウイルスに感染。本人にせきや発熱の症状はなく、同じ便に乗務した客室乗務員12人が濃厚接触者と判断されたものの、体調不良を訴える人はいなかった。乗客104人については、保健所は濃厚接触者に該当しないと判断している。
関連リンク
全日本空輸
機内の空気循環について
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【お知らせ】
米国の事象について濃厚接触者に関する情報がANAから更新されたため、記事に反映しました。(20年4月2日 14:15 JST)