全日本空輸(ANA/NH)と日本電気(NEC、6701)は3月30日、羽田空港近隣にあるANAグループの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」に、ローカル5Gを導入すると発表した。ローカル5Gは企業や自治体などが5G周波数の免許を取得し、敷地内で自営の通信環境を構築するもので、両社によると日本の航空業界でローカル5Gは初導入だという。早ければ4月末に実証実験を開始し、2021年春の実用化を目指す。
ANAは、NECが取得したローカル5Gの実験免許を活用。NECが基地局や端末など5Gネットワーク機器を提供する。5Gは高速大容量や低遅延、多接続といった特徴があり、VRゴーグルなどとローカル5Gを活用して訓練品質の向上を図る。
これまでは訓練で収集しきれなかった訓練生の姿勢や手順、視線、感情の変化などのデータを、ローカル5Gに接続したカメラや測定機器でリアルタイムに収集し、分析結果を訓練生に伝えて訓練効果を高めるといった使い方を想定している。
また、パートナー企業が提供する新技術を5G上で活用。ABB内の端末やシミュレーター、モックアップなどと組み合わせて、新たなサービスを開発していく。
ABBは、2019年4月15日から順次運用を開始。これまで点在していたグループの訓練施設を集約するもので、敷地面積は約3万2800平方メートル、建物面積は約6万500平方メートルで、地上8階建て。パイロットが実機同様の動きを体験して訓練する「Full Flight Simulator(FFS、フルフライトシミュレーター)」や、整備士がエンジンや主脚の実物を使い、オイルが流れるチューブの取り付けや取り外しなどの基礎訓練を受ける「Maintenance Training Mock-up(MTM、メンテナンス・トレーニング・モックアップ)」、客室乗務員に茶道を通じたおもてなしを会得させる茶室などがある。
関連リンク
全日本空輸
・ANA、総合訓練施設「ANA Blue Base」公開 20年6月に全面運用(19年5月30日)