日本航空(JAL/JL、9201)は、羽田空港第3ターミナル(旧称国際線ターミナル)本館のファーストクラスラウンジを夏ダイヤ初日の3月29日にリニューアルオープンする。ファーストクラス客やマイルの最上位会員を対象にしたラウンジで、面積と席数を約2.5倍に増やすとともに、成田空港で好評の寿司カウンター「鮨 鶴亭」やバーテンダーがサービスする「JAL’s SALON」などを新設。ラーメンの新メニューや、日本のクラフトビールなども提供する。
中国から拡散した新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、オープンから当面はビュッフェスタイルの食事提供を取りやめるなど、サービス内容を一部変更。スタッフはマスクと手袋を着用して接客する。
—記事の概要—
・席数2.5倍
・鮨 鶴亭
・「萬福」の中華そば
・JAL’s SALON
席数2.5倍
リニューアル後のファーストクラスラウンジの席数は535席で、これまでの213席から約2.5倍に増える。従来は一般会員用の「サクララウンジ」だったエリアもファーストクラスラウンジに改め、本館4階にダイニングエリア「JAL’s Table」と職人が握り寿司を提供する「鮨 鶴亭」、シャワー室など、5階にJAL’s SALONを設ける。前回のリニューアルは5年7カ月前の2014年8月29日で、今回は2019年10月29日から改修工事を進めてきた。
デザインは、JALの国際線・国内線ラウンジのリニューアルを手掛ける乃村工藝社(9716)のA.N.D.(AOYAMA NOMURA DESIGN)クリエイティブディレクター小坂竜氏によるもの。「モダンジャパニーズ」をコンセプトに、外国人客にも日本の文化などを感じてもらえるデザインを取り入れた。
レセプションエリアには、左官職人、挾土(はざと)秀平氏による空・雲・太陽を表現した左官壁のアート「雲上の夜明け」が飾られ、JAL’s Tableへ向かうアプローチには、レセプションから向かう際は桜が咲き誇り、ラウンジを発つ時には鶴が舞う屏風が並ぶ。アプローチの先には、JAL’s Tableを表現した赤いガラスのアートウォールが配された。
鮨 鶴亭
鮨 鶴亭の第1弾は成田空港のファーストクラスラウンジで、2019年4月1日にオープン。白木のカウンターを配し、職人が一貫ずつ握る。季節ごとに用意する3種類の日本酒や、ワイン、ローランペリエのシャンパンも用意する。
これまで羽田のファーストクラスラウンジはシェフによる鉄板焼き、成田が握り寿司と分かれていたが、鶴亭に一本化。日本を離れるビジネスマンだけではなく、外国人にも本物の寿司を堪能してもらう。
鶴亭の営業時間は午前7時から午後0時までと、午後2時30分から午後11時30分まで。
「萬福」の中華そば
ダイニングエリアの「JAL’s Table」では、従来から好評の「JAL特製ビーフカレー」などのビュッフェスタイルに加え、ラウンジスタッフが目の前で取り分けるカウンタースタイルを成田に続いて採用。対面サービスを充実させることで、利用者の満足度を高める。
「和御膳」や「サラダプレート」「サンドイッチプレート」「パスタプレート」「ミートプレート」など、さまざまな出来たての料理をスタッフが提供する。
成田で提供を始めたラーメンは3種類用意し、月替わりで2種類提供。人気ラーメン店「阿夫利」とのコラボレーションによる「AFURI(阿夫利)柚子塩らーめん」、濃厚なスープの「JAL特製豚骨ラーメン」に加え、大正時代から続く銀座の老舗「萬福」の中華そばが登場する。豚骨は常時提供し、AFURIは奇数月、萬福は偶数月のメニューとなる。
中華そばは萬福秘伝のしょうゆダレをベースとしたあっさりとしたしょうゆ味で、三角形の薄焼きタマゴにほうれん草と色鮮やかな盛り付け。麺はラウンジの厨房専用の特製で、3つのラーメンごとに違う麺を用意した。萬福の中華そばは「ちぢれ麺」で、店の麺に近づけるのに苦労したという。
また、鶴亭の手前にラーメンを受け取れるカウンターを設けた。
JAL’s SALON
JAL’s SALONは、ソファを中心にくつろいでもらう空間。食事よりもゆったり過ごしたい利用者がターゲットで、バーテンダーがサービスするバーカウンターは「日本の匠の味」が楽しめる空間として、無農薬の日本茶や和菓子、日本のクラフトビールやクラフトウイスキー、クラフトジン、クラフトウオッカなどを提供する。
日本茶や和菓子、クラフトビール、クラフトウイスキーは月変わりで提供。日本茶は佐賀県と長崎県境で茶葉をつくるEN TEA社がお茶を選ぶ。4月は、温かいお茶が紅焙じ茶、冷茶が水出し茶で、冷茶はバーテンダーがシェイクしたものを提供する。和菓子は三英堂の 「湖都路」、クラフトビールはFar Yeast Brewingの「FAR YEAST 東京IPA」と常陸野ネストビールの「常陸野ネストホワイトエール」、クラフトウイスキーは鹿児島の「嘉之助ニューボーン2019 バーボンカスク19カ月」を、4月のメニューとしてそろえる。
また、プレミアムウイスキーや純米大吟醸などの日本酒、ワインなども用意する。JAL’s SALONの営業時間は午前7時から最終便出発まで、バーカウンターは午前7時から正午、午後2時30分から午後11時30分まで。
シャワー受付は銭湯イメージ
シャワールームや英国の高級靴メーカーJOHN LOBB(ジョンロブ)社とのコラボレーションによるシューシャインサービス(靴磨き)、大人の隠れ家をイメージした「レッド・スイート」と呼ぶ空間は踏襲する。
シャワーの受付には、銭湯の富士山の画をイメージした壁が登場。下足箱のかぎを並べたような造形で富士山を描いた。
ファーストクラスラウンジは、ファーストクラス客のほかにJALのマイレージステータス最高位「ダイヤモンド」保持者と同行者、上位マイレージ会員制度「JALグローバルクラブ(JGC)」の「JGCプレミア」会員と同行者が利用できる。
新型コロナウイルスの影響で、運航便の状況によっては営業時間や広さなどを一時的に調節する可能性がある。JALではこのほかのラウンジでも、食事の提供方法の見直しや、スタッフのマスクと手袋着用を実施している。ファーストクラスラウンジの営業時間は午前6時から最終便出発まで。
*写真17枚。
関連リンク
日本航空
羽田の旧ファーストクラスラウンジ
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