日本航空(JAL/JL、9201)などが加盟するワンワールド・アライアンスと、全日本空輸(ANA/NH)などが加盟するスターアライアンス、デルタ航空(DAL/DL)らが設立したスカイチームの3航空連合は現地時間3月16日、EU(欧州連合)が打ち出した航空会社の発着枠使用義務の一時停止措置を歓迎する共同声明を発表した。また、EUなどの規制当局に対し、停止期間の延長を検討するよう求めた。
EUの行政執行機関であるEC(欧州委員会)は、中国から拡散し欧州で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う航空需要減少への対応策として、航空会社に課している発着枠の使用基準を緩和する方針を10日に打ち出した。従来、発着枠の80%を使用しなかった航空会社は次回の割り当てを受ける権利を失うが、この基準を6月まで停止する。
発着枠維持のため、航空会社が乗客を乗せずに運航する「ゴーストフライト」を減らし、需要減による収益悪化に苦しむ航空会社に配慮する。
これに対し、世界の航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)は13日に、一時停止措置を歓迎する声明を発表。3航空連合は「業界が旅客需要の異常な減少に苦しんでいる」とし、IATAの声明を強く支持する意向を示した。
また3航空連合は各空港の運営会社に対し、着陸料の見直しを求めた。
IATAの予測によると、新型コロナウイルス感染拡大による航空会社の売上高減少は全体の19%に当たる1130億ドル(約12兆円)に上る。これは米国による欧州からの移動制限措置が発表される前の予測で、2019年は200億ドル以上だった欧米間の売上高に「圧力をかける」(3航空連合)とみている。
関連リンク
ワンワールド・アライアンス
スターアライアンス
スカイチーム
・EU、発着枠使用義務を一時停止 ”ゴーストフライト”削減でIATA歓迎(20年3月15日)
・米国、欧州からの入国停止30日間 英国は対象外(20年3月12日)
・新型コロナでの損失額、最大1130億ドル IATA予測、感染拡大で大幅増(20年3月9日)