ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)は3月13日、創業時からCEO(最高経営責任者)を務めてきた井上慎一氏(61)が31日に退任し、森健明副社長(57)が4月1日付けで昇格すると発表した。井上CEOは全日本空輸(ANA/NH)の専務に4月1日付で就任し、同社の平子裕志社長、清水信三専務(4月1日付で副社長昇格)とともに代表権を持つ予定。
森新CEOは、1987年4月にANA入社。2011年4月にピーチの前身となるA&Fアビエーション(同年5月24日にピーチ・アビエーションに社名変更)のオペレーション本部長に就任し、2015年12月から執行役員オペレーション統括本部長などを歴任。2017年4月から取締役副社長兼COO(最高執行責任者)を務めている。2012年3月1日に国内初のLCC(低コスト航空会社)として就航以来、オペレーションや経営企画といった分野を率いてきた。
井上CEOは、三菱重工業(7011)に1982年4月に入社し、ANAには1990年9月入社。2008年1月からアジア戦略室室長、2010年12月からLCC共同事業準備室室長を歴任し、2011年2月のA&F創業からCEOを務めてきた。8年前の就航当初は3機のエアバスA320型機(1クラス180席)でスタートしたが、現在は33機のA320で国内線21路線と国際線18路線の計39路線を運航し、1日あたり約2万人が利用するまでになった。2019年11月1日には、同じくANAHD傘下のバニラエアとの統合を終えている。
4月1日からはANAの専務執行役員として営業部門を統括し、東京オリンピック・パラリンピック推進本部の本部長も兼務する。
ANAHDの片野坂真哉社長は、ピーチがプロモーション費用を掛けずに認知度を高めた点や、SNSを活用したマーケティングなどを高く評価。FSC(フルサービス航空会社)であるANAでも、従来の概念にとらわれない営業戦略の立案を井上氏に期待しているとみられる。
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