ロールス・ロイスは、次世代の低燃費・低騒音エンジン技術「UltraFan」の実証機エンジン向けに世界最大のファンブレードの製造をこのほど始めた。2021年に地上試験を開始し、2020年代の終わりごろに運用可能になる見通し。
複合材ブレードの直径は、現在のナローボディ機の胴体とほぼ同じ大きさの140インチ(約3.6メートル)で、英ブリストルにある同社のテクノロジーハブで製造している。これにより、実証機の部品製造が正式にスタートした。
UltraFanは効率性と持続可能性に優れ、初期のトレントエンジンと比べ、燃費が25%向上し、温室効果ガス排出量も25%減少するという。効率向上の要因として、UltraFanの複合材のファンブレードやファンケースの利用により、2基のエンジンを搭載した航空機で重量が700キロ減ったことを挙げている。
高推力、高バイパス比のギア設計で、推力は2万5000ポンド(約11.3トン)から10万ポンド(約45.4トン)に拡大可能。新しいエンジンコアの構造で燃費効率を最大化し、温室効果ガス排出量を削減する。また、高度セラミック・マトリックス複合材を採用した。
ファンブレブレードは、耐久性を強化した最新の樹脂材料を用いた炭素繊維を何百枚も重ねて製造。その後、熱と圧力を加え、それぞれのブレードに薄いチタンの前縁を取り付ける。これにより、腐食や異物、バードストライクへの耐性が大幅に向上するという。複合材ブレードはすでに、ロールス・ロイスのフライングテストベッド(飛行試験機)での飛行試験を含む、高性能低圧システム(ALPS)の開発エンジンで試験が実施されている。
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Rolls-Royce
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