神戸工業試験場(KMTL)は仏国営研究機関Cetim(セティム)と協力合意書を締結した。現地時間2月7日付で、シンガポール航空ショーの会場で12日に調印式が行われた。今回の合意により、KMTLは欧州エアバスなどのサプライヤー認定取得を目指し、航空機や自動車業界で求められるギア(歯車)の耐久性評価技術を構築する。
KMTLは日本初の独立系民間試験場で、1947年創業。航空分野では、米GEやボーイング、英ロールス・ロイス、米プラット・アンド・ホイットニーなどからサプライヤー認定を得ている。フランスの国営研究機関であるCetimはエアバスや仏サフランと関係が深く、今回の合意により両社からの認定取得を目指す。
また、Cetimが持つ最先端の試験技術や知識を共有し、KMTLは受託試験サービスを拡大させる。日本国内で対応できる試験機関が少なく、国外へ流出しているギアの耐久性評価試験について、CetimからKMTLへの技術移転を計画している。
KMTLの鶴井宣仁専務によると、ギアの評価は航空機産業以外にEV化が進む自動車業界でもニーズがあり、受託試験サービス拡大に向けて投資していくという。
経済産業省と仏民間航空総局(DAGC)は2017年3月1日に覚書を締結し、日本の航空産業界とエアバスとの連携強化がスタート。2019年6月17日には、日本企業とサフランの民間航空機産業での協力強化について両者が合意し、パリ航空ショーで署名式を開いている。KMTLはCetimとの業務提携を2017年7月19日から始めており、提携強化の一環として今回の合意に至った。
・経産省とボーイング、電動航空機ワークショップ 日本企業の参入後押し(19年7月26日)
・経産省と仏民間航空総局、民間機産業で協力合意 サフランと日系企業の連携強化(19年6月18日)
・ボーイングと経産省、技術協力で合意 CTO「日本は特別な国」(19年1月15日)
・経産省と仏航空総局、航空産業の連携強化 エアバス賛同(17年3月3日)