全日本空輸(ANA/NH)とシンガポール航空(SIA/SQ)は1月31日、戦略的包括提携契約を締結した。2021年10月31日開始の冬ダイヤから、日本とシンガポール、豪州、インド、インドネシア、マレーシアの6カ国を対象とした共同事業(JV)開始を目指し、独占禁止法適用除外(ATI)の認可に向けた申請準備を進める。
—記事の概要—
・豪州・インドの訪日需要獲得へ
・平子社長「機は熟した」
豪州・インドの訪日需要獲得へ
ANAとシンガポール航空は、同じ航空連合「スターアライアンス」に加盟。2004年から双方の運航便に便名を付与するコードシェア(共同運航)を実施しているが、JVが認可されると運航スケジュールや運賃、販売戦略などを両社が協議して調整できるようになり、同一企業のように踏み込んだ連携が可能になるため、利用者の利便性向上が見込める。
ANAの平子裕志社長は、「もっとも成長が期待できるのがアジア・オセアニア地域で、JVが実現すると最短時間で乗り継げるようになる」と述べた。シンガポール航空のゴー・チュンポンCEO(最高経営責任者)は、「素晴らしいマッチングで、非常にパーフェクトなつながりだ」と、JVの意義を強調した。
今回新たに加わる豪州など4地域でのコードシェアや、それに伴う売上の積み増しについて、平子社長は「新しいコードシェア路線はこれから検討し、収入算定していく」と述べるに留めた。一方で、「シンガポール航空は豪州とインドの就航地が多く、たくさんの都市からシンガポール経由でお客様を日本へ運べる」と語った。
平子社長「機は熟した」
ANAは今月17日に、ヴァージン・オーストラリア(VOZ/VA)と包括連携契約を締結。チュンポンCEOは、「シンガポール航空はヴァージン・オーストラリアの株をかなり保有しており、私たちも提携を支持している。提携はパートナーの能力を伸ばすものであるべきだ」と、豪州での連携を指示した。
今回の提携について、平子社長は「シンガポール航空にはANAのパートナーになって欲しいという気持ちがあり、去年、おととしくらいから協議を進め、機は熟した。北米や欧州は航空会社がどんどん集約されているが、アジアはまだまだ多くの航空会社がある。先進的にエリアを引っ張っていけることを考え、そのパートナーがシンガポール航空だ」と、航空会社の集約が進んでいないアジアで、先手を打っていく考えを示した。
ANAは、アジア-北中南米間でユナイテッド航空(UAL/UA)と、日本-欧州間でルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)グループとJVを展開。シンガポール航空とのJVは3番目で、ANAにとってアジア・オセアニア域内では初のJVになる。
ANAの動き
・ANAと豪ヴァージン、コードシェア 国際線は春以降(20年1月17日)
・ANA、19年4-12月期の営業益23.6%減 通期見通しは据え置き「影響精査できていない」(20年1月31日)
・ANA、777Xを21年3月末までに初受領 従来計画を維持(20年1月30日)
・ANAの中国発2月予約、昨年の半分に 日本発も4割減(20年1月30日)
・ANA、成田-武漢線の欠航継続 3月1日まで(20年1月30日)
・ANAの羽田国際線、新7路線の航空券発売 SFO・モスクワ・ミラノ・ストックホルム・イスタンブール・青島・深セン(20年1月27日)
・ANA、羽田国際線の出発ターミナル決定 第2が6割、第3も継続(20年1月24日)
・ANAの羽田国際線、12新路線 成田の米国5路線運休・減便へ 20年夏(19年11月19日)
シンガポール航空の動向
・シンガポール航空、東京-NY開設へ ANAとコードシェア検討(20年1月3日)
・シンガポール航空のA380新仕様機、成田線で運航開始(20年1月3日)
・シンガポール航空のA380新仕様、1月にも成田へ(19年10月22日)
・エアライン満足度1位はシンガポール航空 エイビーロード調査(19年7月5日)
・シンガポール航空のA380、成田に再就航(19年4月28日)
・シンガポール航空、19時間の世界最長NY便再開 A350-900ULR投入(18年10月13日)
・シンガポール航空の787-10、関空就航 世界初の定期便、18%供給増(18年5月3日)
・シンガポール航空、787-10公開 新シート採用、5月に関空就航(18年3月28日)