ブラジルの競争当局・経済擁護行政委員会(CADE)は現地時間1月28日、ボーイングとエンブラエルが設立する民間機事業について、27日付で承認したと発表した。このほか、エンブラエルの空中給油・輸送機KC-390の合弁事業も承認した。
ボーイングとエンブラエルは、民間機事業の新会社を「Boeing Brasil – Commercial(ボーイング・ブラジル-コマーシャル)」と命名し、株式はボーイングが80%、残り20%をエンブラエルが保有する。エンブラエルの株主は、2019年2月26日に新会社設立を承認。正式な設立には各国の規制当局による認可が必要となる。これまでに米国とブラジルのほか、日本と中国、南アフリカ、モンテネグロ、コロンビア、ケニアの各国が了承済みで、2018年後半からは欧州でも評価が進んでいる。
また民間機に加え、KC-390の合弁事業も承認。合弁会社は市場開拓や販売促進を手掛け、エンブラエルが51%、ボーイングが49%を出資する。
CADEは承認した理由について「同じ市場で競争しないため、競争上の問題はない」と説明。ボーイングとエンブラエルは共同で、「承認を歓迎する」との声明を発表した。
民間機事業の新会社が発足すると、ボーイングはE2シリーズなど70席クラスの機体から450席クラスの747-8までの旅客機と、777Fなどの貨物機を加えた民間機市場全体をカバーできるようになる。KC-390の合弁事業と合わせ、軍民とも小型機はエンブラエル、100席以上のサイズはボーイングと分担して、世界市場を攻められるようになる。
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