エアバス, 企業, 機体 — 2020年1月27日 12:49 JST

川崎重工、A220向けPW1500Gのファンドライブギアシステム初出荷 明石工場から

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 川崎重工業(7012)は、エアバスA220型機が採用している米プラット・アンド・ホイットニー(PW)社製GTF(ギヤード・ターボファン)エンジン「PurePower PW1500G」のファンドライブギアシステム(FDGS)を明石工場から初出荷したと、1月23日に発表した。

PW1500Gを採用するA220=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

PW1500Gのファンドライブギアシステム(川崎重工提供)

 川重はPW1500Gと、エンブラエルE190-E2とE195-E2が採用するPW1900Gの開発・生産プログラムに、リスクなどをシェアに応じて負担する契約方式「RRSP(リスク・アンド・レベニューシェアリングパートナー)」で参画している。

 同プログラムで川重は、民間航空機用エンジン向けとして同社初となるFDGSと燃焼器を担当。FDGSは、PWのGTFエンジンにとって優位性の根幹をなす最重要部品で、GTFは燃費を向上させるため、FDGSを用いてファンの回転数とファンを駆動するタービンやコンプレッサーの最適な回転数を両立させ、ファンの大型化を実現している。

 今回初出荷されたFDGSは、エンジン運転試験に使われ、今後量産品を製造する。

 A220は、ボンバルディアが開発した小型旅客機「Cシリーズ」の新名称。A220-100(旧CS100、100-135席)と、中胴が3.7メートル長い長胴型のA220-300(旧CS300、130-160席)の2機種を製造している。ボンバルディアはエアバスとボーイングの新世代機が不在の100-150席機市場を、Cシリーズで制するプランだったが、開発費がかさんだことなどで業績が悪化。エアバスへの事業売却につながった。

 RRSP方式は、エンジンや補用部品の販売・修理事業など、あらゆる収入を事業のシェアに応じて配分を受ける権利がある一方で、開発や量産、販売に関するすべての費用とリスクもシェアに応じて負担する契約方式。航空機産業では近年、巨額の開発費やリスクを複数社で分担するため、RRSP形式で契約を結ぶ企業が増えている。

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川崎重工業
Airbus
Embraer

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