米国家運輸安全委員会(NTSB)は4月19日(現地時間、以下同)、ボーイング787型機のリチウムイオン電池システムに関する公聴会を23日と24日の2日間開催すると発表した。
米国連邦航空局(FAA)の代表者や、ボーイングやバッテリー製造元のジーエス・ユアサ(6674)、充電システムなどを製造した仏タレス・アビオニクス・エレクトリカル・システムの技術者らが出席。リチウムイオン電池の設計や試験、認証要件、安全性などについて、NTSBの委員や技術スタッフからの質問に答える。ボーイングからは、3月に来日したバイス・プレジデント兼チーフ・プロジェクト・エンジニアのマイク・シネット氏らが出席する。
NTSBが行っている調査の対象は、1月7日にボストンで起きた日本航空(JAL、9201)の787(登録番号JA829J)のバッテリー火災。公聴会は両日とも午前9時から午後5時まで行われる。1日目はバッテリーシステムの技術選択や認証要件、設計や開発について、2日目は設計の検証や安全評価の見直し結果などを取り上げる。
FAAは、787の運航再開に必要な書類を近く承認する見通し。世界最多の17機を保有する全日本空輸(ANA、9202)や7機保有するJALは、FAAの決定を受けて国土交通省航空局(JCAB)が認可すれば、6月から運航再開できるようバッテリーシステムの改修を行う方向で準備を進めている。ANAによると、バッテリー改修は作業箇所ごとに複数の機体を同時並行で進められるとしている。
ANAでは運航再開後の初便を現時点で決定していないが、これまで深夜に羽田と那覇を結ぶ旅客機の貨物室のみを使う貨物便に787も投入していたことから、乗客を乗せない貨物便が初便となる可能性は考えられるという。
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