空港 — 2019年12月13日 00:15 JST

関西空港、T1改修で4000万人受け入れ 国際線エリアは中央部、国内線は南側へ

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 関西空港を運営する関西エアポート(KAP)は12月12日、第1ターミナル(T1)を改修すると発表した。中央部にある国内線エリアを国際線に変更することで、国際線旅客の受け入れ能力を年間4000万人に拡大する。2020年末ごろをめどに着工し、2025年開催の大阪万博までに完了する見込み。

20年末から段階的に改修を進める関西空港T1の国際線エリア=19年12月12日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
国際線は中央エリアに
国内線は南側へ
4フェーズで改修
山谷社長「訪日増は幸運に恵まれた」

国際線は中央エリアに

 現在のT1国際線エリアは南北に分かれており、国内線は中央部を使用している。改修後は、国際線エリアを中央部を含め1カ所に集約。国内線エリアは南側に移転する。

 国際線の出発は現在、4階でチェックインし保安検査場を通過後、3階の南北出国審査場へ向かう。3階からは商業エリアを経由し、シャトルに乗り南北の出発ゲートへ向かい、2階から出発する。到着は、2階にある南北の入国審査場を抜け、一般エリアに出る。

 改修により、出発動線を大幅に変更する。4階の保安検査場を増床し、現在も導入している16台のスマートレーンを22台に増やす。また、長さを15メートルから20メートルに伸ばすことで、1台あたりの処理人数の増加を図る。

 3階の出国審査場は1カ所に集約する。現在の出国審査場のあるエリアには、国際線ラウンジを設置する。2階にはウォークスルー型の免税店を設け、店内を通過し出発ゲートに向かう。改修前は物販や飲食店舗が区分けされた配置となっているが、改修により商業区画を集約する。出国審査が終わるまでの時間を短縮することで、出国後エリアでの滞在時間の延長を見込む。

 改修後の国際線は、LCC専用の第2ターミナル(T2)と合わせ、年間4000万人が利用できるようにする。

改修後の関空T1国際線保安検査場(イメージ、関西エアポート提供)

改修後の関空T1出国審査場(イメージ、関西エアポート提供)

国内線は南側へ

 国内線は現在、2階中央部の南側に4台、北側に5台ある従来型の保安検査場を通過し、同じ階にあるゲートから出発する。改修後は保安検査場を1カ所に集約し、20メートルのスマートレーンを6台導入する。

 現在のスポット(駐機場)は、国際線専用が32カ所、国内線専用が7カ所、国際線と国内線で共用する「際内共用」が2カ所の計41カ所。改修により3つ増の44カ所となる。内訳は国際線専用が3つ増の35カ所、国内線専用が2つ減の5カ所、際内共用が2つ増の4カ所となる。国際線で増える5カ所は北側に設け、大型機と小型機に対応できる「マルチスポット」も設置する。

改修後の関空T1国内線保安検査場(イメージ、関西エアポート提供)

改修後の関空T1国内線エリア(イメージ、関西エアポート提供)

4フェーズで改修

 改修は4つのフェーズに分けて進める。最初に始めるのは国内線エリアの増築・改修と、本館3階の国際線到着動線の増築で、2020年末から2022年初頭までを予定する。2022年初めから2023年中ごろまでは、2階中央部の国際線エリアの新設などを進める。

 2023年中ごろからは、4階保安検査場エリアの増築や、3階国際線ラウンジを新設し、最後となる2階南北の国際線出発エリア新設は、2025年春を計画する。

 改修後の総面積は、現在の30万4000平方メートルから32万2000平方メートルに増える。このうち、改修対象となるのは約8万9000平方メートル。増築部は約1万6000平方メートルとなる。

山谷社長「訪日増は幸運に恵まれた」

新路線を「欲張りに全部取りに行く」と語るKAPの山谷社長=19年12月12日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 関空の2018年度のT1利用客数は、国際線が2060万人、国内線が400万人。1994年の開港時は、年間の利用者数を伊丹空港の廃港を前提として計画し、国際線1200万人、国内線1300万人としていた。現在は国内線が当初の計画を下回る一方、国際線は計画値を大幅に上回っている。

 国際線と国内線の利用者の割合も大きく変化している。開港初年度の1994年度は国内線が52%、国際線が48%に対し、2018年度は22%が国内線、78%が国際線となった。国際線の利用者のうち、日本人と外国人の割合も変化。1994年度は日本人が75%、通過客を含む訪日客が25%に対し、2018年度は31%が日本人、69%が外国人となった。

 政府は2016年3月30日に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」で、2020年の訪日客目標を4000万人と定めた。KAPは策定後の同年4月1日から、関西空港の運営に携わっている。KAPの山谷佳之社長は、国際線の利用客が計画値を上回っている現状について、「政策や国の流れに従い、訪日客をお迎えしている。(策定直後の運営開始で)幸運に恵まれた」とした。

 今後は改修に伴い、国際線利用客のさらなる増加が見込まれる。路線増加について山谷社長は「鉄則は『伸びているときに取り込んでいく』。チャンスはものにしたい」とした上で、欧米などの長距離路線や、経済成長の著しいアジア路線などを拡大させたいと述べた。山谷社長は「欲張りに全部取りに行く」と意気込みを語った。

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