ボーイングは現地時間11月22日(日本時間23日)、小型機737型機では胴体長が最長となる737 MAX 10(登録記号N27751)を、米ワシントン州シアトル近郊のレントン工場でロールアウト(完成披露)したと発表した。今後システムやエンジンの作動状況を確認し、初飛行は2020年になる見通し。
737 MAXは737の発展型で、CFMインターナショナルの新型エンジン「LEAP-1B」を採用。翼端には新型ウイングレット「アドバンスト・テクノロジー・ウイングレット」を備え、客室内装はLED照明や大型の手荷物収納棚など、787と同等のものを取り入れた「ボーイング・スカイ・インテリア」を採用する。
標準型は737-800の後継となる2016年1月に初飛行した737 MAX 8(1クラス189席)で、もっとも胴体が短い機体で737-700の後継機737 MAX 7(同172席)、従来型では胴体がもっとも長かった737-900ERの後継機737 MAX 9(同220席)があり、737 MAX 10(同230席)は5機種目となる。
737 MAX 10は、2017年6月に開かれたパリ航空ショーでローンチ。世界各国の20を超える顧客から550機以上の受注やコミットメントを獲得している。737 MAX 9の胴体を66インチ(約1.7メートル)延長して、定員増加によりドアを追加し、翼や圧力隔壁なども改良している。2018年2月には、「ファーム・コンフィギュレーション」と呼ばれる仕様策定が完了した。
ボーイングはライバルとなるエアバスA321neoと比較し、737 MAX 10はこれまででもっとも収益性の高い単通路機と呼んでいる。
一方で、737 MAXは2018年10月と今年3月に墜落事故を計2件起こしており、合わせて346人が亡くなっている。ボーイングに対するFAA(米国連邦航空局)の監督体制の甘さなども指摘されており、両者は大きく信頼を失った。737 MAXが納入停止になった影響で、今年7-9月期の民間機納入は前年同期比67%減の62機にとどまり、ボーイング全体の売上高も21%減と大幅に落ち込んだ。
ボーイングは737 MAXの納入再開目標を年内に定めており、2020年1月の商業運航の再開を目指している。
ボーイング民間航空機部門の副社長で737プログラムのゼネラルマネージャーを務めるマーク・ジェンクス氏は22日、「737プログラムのチームが安全と品質に絶えず注力していることは、航空会社とボーイング機に搭乗するすべての乗客に対するコミットメントを示している」との声明を発表した。
関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン
737 MAX 10
・ボーイング、737 MAX 10の仕様決定 胴体最長、20年納入開始(18年2月7日)
・ボーイング、737 MAX 10ローンチ ライオンエアなど発注へ(17年6月20日)
737 MAXの動向
・737MAX、12月納入再開も 運航再開20年1月目指す(19年11月12日)
・ボーイングの19年7-9月期、737MAX納入停止で純利益51%減 777X初納入は21年、787は減産(19年11月4日)
・ボーイング、民間機部門社長にディール氏 737MAX運航再開目指す(19年10月23日)
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