全日本空輸(ANA/NH)は11月18日、機内やラウンジで提供するワインの新しい銘柄を発表した。一部は9月から提供を始めており、12月から本格的に展開していく。従来は同じ銘柄を1年間提供していたが、銘柄により提供期間を短くすることで、これまで供給量の関係で選べなかった銘柄も扱う。3カ月ごとにメニューを刷新する機内食のように、ワインでも季節感を演出する。
選定は昨年12月から開始し、世界15カ国の約2000銘柄から書類審査とブラインドテイスティングで、62銘柄を選んだ。ワインの本場欧州に加え、日本産など各地のワインを選定。赤ワインや白ワイン、ポートワイン、シャンパン、スパークリングワインが勢ぞろいした。
ANAで機内や空港のサービスを企画するCEマネジメント室商品企画部の原雄三部長は、「今までは1年間搭載できる銘柄だったが、3カ月ペースで食事を変えているので、ワインもできないかと考えた」と述べ、年間供給が難しいワイナリーからも調達できるようになったという。「全部を外部のソムリエの方に任せるのはおかしいという考え方で、どういうお客様が乗っていて、どういう感想を持たれているのかも反映した」と、ANAの客室乗務員や担当者の声を反映するようにしていると語った。
ANAのワイン選定では、2000年世界最優秀ソムリエを受賞したオリヴィエ・プーシエ氏と、コンラッド東京でエグゼクティヴ ソムリエを務める森覚氏がアドバイス。森氏は「ANAにワインを出したいが、供給量が難しいという声がワイナリーからあった。出したいものを出せるのはソムリエとしてうれしい」と、ファーストクラスで提供する赤ワインの「シャトー・コス・デストゥルネル 2008」(仏ボルドー/カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン)や、千曲川流域で収穫されたブドウを使う「ソラリス 信州千曲川産メルロー 2016」(長野/メルロ)などを例に、通年提供という条件を外すことで、さまざまなワインを選定できたという。
「機内では渋みや酸味を強く感じるため、以前は酸味が強いワインや渋みの強いものを控える方針だったが、季節によっては酸味が強いものもよいのでは」(森氏)と、季節に合わせたワインを選ぶようにした。
機内食を担当するANAケータリングサービス(ANAC)で総料理長を務める清水誠シェフは、「機内では味を感じにくくなるので、しっかりした味わいのものを作るようにしている。ワインに合わせられるメニュー作りができれば」と、季節感をワインとともに感じられる機内食を目指すという。
11月21日のボジョレー・ヌーボー解禁日には、ファーストクラスとビジネスクラス、羽田空港と成田空港のANAスイートラウンジで、メゾン・ジョゼフ・ドルーアンのボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーを提供する。
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