国土交通省航空局(JCAB)は11月15日、2020年3月から運用を開始する羽田空港の新飛行経路について、試験飛行を1月30日から実施すると公表した。航空会社が運航する乗客が乗った旅客便を使用する。
*初日は都心上空を61機通過。記事はこちら。
*2月12日に飛行確認終了。記事はこちら。
—記事の概要—
・北風・南風各7日間
・夏ダイヤから新飛行経路
北風・南風各7日間
試験飛行は1月30日から3月11日の期間内に実施。滑走路運用は北風と南風の際の2種類あることから、それぞれ7日間程度、実際の旅客便を使って新飛行経路を確認する。この際、管制官が新飛行経路の運用の手順などを確認するほか、新たに設置した騒音測定局の機器の調整などを行う。
北風運用時の試験飛行は1月30日から2月12日までの期間のうち7日間程度で、出発用の新飛行経路の確認を午前7時から午前11時の間と、午後3時から午後7時までの間に実施。1時間あたり22回程度で、午後は経路の切替時間帯を含むため、時間内のうち3時間程度の運用を見込む。
南風運用時は2月1日から3月11日までが期間となり、新飛行経路の到着と出発をそれぞれ午後3時から午後7時までの間に実施。到着はA滑走路が1時間当たり14回程度、C滑走路が同30回程度を想定しており、出発は1時間あたり20回以内を計画している。
また、南風時の新飛行経路の運用では、航空機が安全に飛行できるよう、羽田空港到着機と小型航空機、回転翼機の飛行する空域を分離する。
夏ダイヤから新飛行経路
新飛行経路の運用は、3月29日に始まる夏ダイヤから。これにより国際線の発着回数が3万9000回増え、現在の年間6万回から9万9000回に拡大する。
発着回数の拡大で、発着枠を1日あたり50枠増やして増便に対応し、7月の東京オリンピック・パラリンピック開幕に備える。半数近い24枠を米国路線に充て、日米に12枠ずつ振り分けた。発着枠は出発と到着を合わせて1枠としてカウントしており、12枠を便数で表記する場合、1往復をセットで数えると12便(12往復)、片道ずつ個別の便として数えると24便になる。
また、新飛行経路で使用する航空保安施設が完成したことから、JCABは飛行検査機サイテーションCJ4を使用し、施設の稼働状況などを8月30日から12月下旬にかけて確認している。滑走路への進入コースを指示するILS(計器着陸装置)や、GPSなどで自機の位置を算出して任意の経路を飛行する航法「RNAV(広域航法)」による出発・進入、航空機を高精度に監視するWAM(広域マルチラテレーション)といった無線施設などが検査対象で、東京と神奈川、埼玉、千葉の各都県上空を飛行する。
飛行検査の実施と並行して、発着調整を9月から1月はじめごろまでに進める。12月下旬から新飛行経路を周知し、3月の運用開始に備える。
関連リンク
国土交通省
「羽田空港のこれから~飛行経路の見直しによる羽田空港の国際線増便について~」(PDF、国交省)
都心を61機通過
・羽田空港新ルート、都心を61機通過し着陸 旅客便で飛行確認始まる(20年2月3日)
8月から12月まで飛行検査
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