日本航空(JAL/JL、9201)のエアバスA350-900型機が9月1日に就航し、2カ月が過ぎた。1路線目は羽田-福岡線で、冬ダイヤ初日の10月27日からは羽田-札幌線にも投入。2020年2月1日からは3路線目の羽田-那覇線に就航する。機体も機体後部にA350のロゴを大きく描き、初号機から3号機まで色違いの特別塗装機は全機そろい、無印の4号機も投入済みで、珍しい飛行機から徐々に普通の飛行機になりつつある。
A350の座席数は3クラス369席で、ファーストクラスが12席(2-2-2席配列)、クラスJが94席(2-4-2席)、普通席が263席(3-3-3席)。置き換え対象の777-200(3クラス375席:ファースト14席、クラスJ 82席、普通席279席)と比べると、ファーストは2席減、クラスJは12席増、普通席が16席減となり、全体では6席減った。
唯一座席数が増えたクラスJは、ファーストクラスほど高額ではないことから国内線の人気商品になっている。果たして、A350の新クラスJの乗り心地はどうだろうか。福岡で取材があった際、往路はクラスJ、復路は普通席に乗ってみた。ファーストクラスはかなり前から予約を試みたものの、乗りたい時間帯に空席がなく、今回は断念した。
—記事の概要—
・小糸からレカロに
・11.6インチ画面や電源完備
・不安定なテーブル
小糸からレカロに
クラスJが登場したのは2004年6月。日本エアシステム(JAS)との「JAL/JAS統合」(2002年)から間もない時期で、リクライニングした際に座面が前に出るなどの工夫を凝らした。
2014年5月からは新仕様機「JAL SKY NEXT(JALスカイネクスト)」として、クラスJはシートカバーが布地から本革となり、クッションも新しくしてマイナーチェンジ。今回のA350では、フルモデルチェンジとなった。
777など従来のクラスJは、KIホールディングス(旧小糸工業)と米TIMCO製シートだったが、新クラスJでは独レカロ製に変わった。A350をはじめ、新型機はエアバスもボーイングも極力カタログに載っているシートを選ぶことを、航空会社に対して強く推奨している。需要が拡大し、早期納入を迫られているためだ。コストを掛けられる国際線のファーストやビジネスクラスと違い、国内線のシートはおのずと限界がある。
今回羽田から福岡へ乗った際に感じたのは、座り心地は良いものの、使い勝手だけを見ると旧シートのほうが日本人好みではとの印象を抱いた。
11.6インチ画面や電源完備
新クラスJのシートピッチは普通席とより7インチ(約18センチ)広い38インチ(約97センチ)で、座席幅は48センチ。ファーストや普通席と同様、クラスJも個人用モニターを初搭載し、11.6インチのものが選ばれた。シートのカラーは従来ブラック1色だったが、背もたれ上部をワインレッドに取り入れ、ツートンカラーとした。機内に入ると、これまでより明るく感じる。
レッグレストは位置や角度が調整可能な新機構のものを導入。モニター下部の小物入れやポケットに加え、ひじ掛け下にもiPad miniを念頭に置いた収納スペースを設けた。また、折りたたみ式テーブルを出さなくてもドリンクを置けるよう、大型カクテルトレイを設け、個別の読書灯も備えた。電源コンセントや充電用USB端子もあり、利便性が向上している。
座り心地も、違和感を特に覚えることはなく、快適で疲れにくいシートだった。しかし、電源コンセントはほかの航空会社の同型機や他機種と同じく、日本の「Aタイプ」は不安定で抜けやすく、フランスなどで使われている「Cタイプ」に変換した方がいい。これはJALのA350に限った話ではない。
他社機や試験機に乗った際、A350の特徴のひとつが機内が静かなこと。羽田でエンジンスタートした際、かすかに聞こえてきたが既存機よりは静かだ。水平飛行になると、従来より静かなことを実感しやすいだろう。
不安定なテーブル
唯一シート周りで気になった点は、テーブルが不安定なことだった。アームレストに
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