エアライン, 企業 — 2019年11月6日 23:11 JST

ANAケータリング、外販新ブランドお披露目 地方の名店コラボやカレー

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 全日本空輸(ANA/NH)の機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)は11月6日、外販事業の新ブランド「ANA FINDELISH(ANAファインデリッシュ)」を発表した。就航地の食材を使った名店の味を家庭で楽しめる「グルメ紀行ボックス」や、ビーフカレーや焼き菓子のフィナンシェなどのオリジナル商品を販売していく。

ANAケータリングサービスの新ブランド「ANA FINDELISH」のカレーを紹介する清水シェフ(中央)とグルメ紀行ボックス(右)やフィナンシェを手にするANAの客室乗務員=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
6億円規模の売上目指す
名店コラボのグルメ紀行ボックス
「くせになる」ビーフカレー、箱はA380

6億円規模の売上目指す

 ANACはANAと同じANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下で、2016年10月から外販事業に参入し、機内や空港のラウンジで提供している商品や、おせち料理などの販売を開始。「ANAのおいしいコレクション」と名付けて展開してきたが、ANAグループが手掛ける地方創生と連携した形に刷新した。新ブランドの「ANA FINDELISH」は、「FIND(検索)」と「DELISH(おいしい)」の造語で、ロゴは皿にかけたソースをイメージし、先端には飛行機を描いた。

ANAケータリングサービスの新ブランド「ANA FINDELISH」のグルメ紀行ボックス第1弾となる富山=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新ブランドの商品は、ANAのショッピングサイト「A-Style」やマイル交換サイト「ANAセレクション」で扱う。今後はグループ外の通販サイトや高級スーパー、百貨店など、販路拡大も進める。今年度のANACの売上高は288億円となる見通しで、新ブランドでは6億円規模の売上を目指す。

 ANACの取締役で外販事業に携わる小林義己氏は、「強みはレシピ作成能力とANAグループにいること。ANAHDやANA、ANAセールス、ANA総研、地方自治体、各地の老舗や企業と連携し、食を通じて地域活性化に貢献したい」と語った。

 また、ブランドを刷新してBtoC事業を本格化される背景として、「ANACはANAHDからグループ外収入を求められている。“ポスト2020”(東京五輪後)を考える中で、独自の成長ドライバーを確保する必要がある」と説明した。

名店コラボのグルメ紀行ボックス

 各地の名店とコラボするグルメ紀行ボックスの第1弾は、富山の「御料理ふじ居」とのコラボレーションで、富山の天然ブリや紅ズワイガニ、富山米「富富富」を用いて、「特製ダレを使ったブリの照り焼き」「紅ズワイガニと富富富の炊き込みご飯」を用意した。11月6日から2020年2月まで扱う。

ANAケータリングサービスの新ブランド「ANA FINDELISH」のグルメ紀行ボックスを監修する「御料理ふじ居」店主の藤井寛徳さん(左から4人目)、「オーベルジュ土佐山」の松本昇吾料理長(同3人目)、「史跡料亭 花月」女将の中村由紀子社長(右から4人目)、ANACの小林氏(左から2人目)、清水シェフ(右から3人目)、相田紀昭シェフ(同2人目)と客室乗務員=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ふじ居の店主、藤井寛徳さんは富山出身。「北陸は金沢のイメージが強いが、富山は一度来てもらえれば必ず好きになってもらえる。2泊くらいで来てもらえれば、ほかのおいしいお店も紹介したい」と、富山代表のつもりでANACからの依頼を引き受けたという。

 第2弾は高知で、12月末から2020年4月まで販売予定。高知の「オーベルジュ土佐山」とのコラボで、高知のカツオやキンメダイを使い、「カツオ炭焼き田舎タタキ塩ポン酢」と「金目鯛の治部煮」を提供する。

 第3弾は長崎で、2020年3がつから6月までを予定。長崎の「史跡料亭 花月」とのコラボで、五島うどんや長崎県産かんぼこを予定しており、「花月 東坡煮」と「新感覚 五島うどん 長崎ソボロ」

 いずれも価格は8000円で、マイル交換は1万マイルで、高知は5000マイルの「ミニ」も設定する。富山のボックスでは、現地で使える「富山湾鮨クーポン引換券」をガイドブックなどと同梱し、現地を訪れてもらうきっかけ作りにもなるようにした。

 第1弾に羽田便がANAの単独路線である富山が選ばれた理由について、小林氏は「ANAとの結びつきが強い路線のボックスを作りたいというのはあった。高知や長崎も自治体が積極的。ANA総研が各自治体に人を送り込んでおり、連携を図りやすそうで、協力してもらいやすそうなところから始めている」と語った。

 ANACによると、今後は沖縄や宮城など、食材の旬などに応じてパートナーを検討していくという。

「くせになる」ビーフカレー、箱はA380

 新ブランドのオリジナル商品は、ANAのファーストクラスの料理やデザートを担当するシェフが監修。第1弾のカレーは、ビーフとポーク、チキンの3種類を発売する。箱はビーフがエアバスA380型機、ポークがDHC Dash 8-400(旧ボンバルディアDHC-8-Q400)型機、チキンはボーイング787型機をかたどった。

ANAケータリングサービスの新ブランド「ANA FINDELISH」のカレー。箱はA380や787などがモチーフ=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ビーフは、フルーツピューレやガラムマサラなどを用いた欧風カレー。ANACの執行役員で調理統括室兼務洋食統括部の清水誠シェフは「くせになる味」にしたと話し、後からスパイシーな味が広がるように仕上げたという。

 ポークは昆布とマッシュルームと2種類のエキスを使い、和と洋のうま味をベースに仕上げた。チキンはあめ色にソテーした玉ねぎやガーリックを使い、中国醤油で仕上げた。

 価格はビーフが550円で、ポークとチキンは各500円。

 カレーと同時に登場するフィナンシェは、ラ・フランス、スイカ、梅、和栗の4種類をセット販売。4個入り800円から。

 ブランド刷新後も、「阿波尾鶏とマッシュルームのカレー」や「機内食で採用された魚の切り身詰め合わせセット」、「ファーストクラスのサラダセット」は、パッケージをリニューアルして販売を継続。おせち料理も引き続き販売していく。

*写真は10枚。

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス富山=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス富山=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス高知=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス高知=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス長崎=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAケータリングサービスのグルメ紀行ボックス長崎=19年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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