全日本空輸(ANA/NH)のビジネスクラスでは初となるドア付きの個室タイプ新シート「THE Room」。搭乗記前編では、ほぼ2人分ある座面の座り心地など、シートそのものを中心に取り上げた。
今回の後編では、機内の個人用モニターでは世界初となる4K対応モニターや、ANAのスマートフォンアプリとの連動など、進化した機内エンターテインメント(IFE)の使い心地に迫る。
—記事の概要—
・離着陸だけ不思議な後ろ向き席
・4Kモニターにノートパソコン接続
・気になったのは電源コンセント
・iPhoneがリモコンに
・安定の一風堂ラーメン
・シート中心の前編はこちら。
離着陸だけ不思議な後ろ向き席
THE Roomは、8月に投入した1路線目の羽田-ロンドン線や10月27日から始まる冬ダイヤ期間中に導入するニューヨーク線やフランクフルト線など、長距離国際線用機材であるボーイング777-300ER型機の新ビジネスクラスだ。
シート配列は、1-2-1席の1列4席。4クラス212席うちビジネスは64席あり、進行方向の前向きシートと、反対の後ろ向きシートが互い違いに並んでいる。私は今回、羽田発ロンドン行きNH211便で、後ろ向きシートに座った。通常とは逆方向の向きに座るというと違和感がありそうだが、この搭乗記の予告編と位置づけた「写真特集・ANA個室ビジネスTHE Roomと客室乗務員」でも触れたが、水平飛行に入ると後ろ向きに座っていることを意識することはなかった。
唯一不思議な感覚になるのは、離着陸時に機体前方を写し出す個人用モニターの映像を見ていると、映像と体感する振動などが逆方向であることだ。私は以前、アメリカン航空(AAL/AA)のビジネスクラスの後ろ向きシートに乗ったことがあるが、想像以上に違和感がなかったのは共通している。水平飛行中に、進行方向を意識することはまずないだろう。
今回は中央席だったので使用できなかったが、窓のシェードがファーストクラスと同じく電動式のものを採用している点も新しい。777では、エールフランス航空(AFR/AF)のファーストクラスなどが電動式シェードを採用しているが、ビジネスは従来からある手動式。シートがフルフラットになり、徐々にファーストとビジネスの設備面で差異が少なくなる中、電動式シェードはファーストらしさを感じるアイテムの一つだった。
しかし、THE Roomは足もとが一人分の広さに絞り込まれるとはいえ、座面や背もたれはおおむね二人分の幅があり、小さな子供連れであれば同じ席に座れそうなほどだ。ファーストの存在意義は、同じエリアにいる人が少ないことや、客室乗務員のサービスといった部分になり、単に居住性だけであればTHE Roomは十分満足できる仕上がりだと感じた。
4Kモニターにノートパソコン接続
では、4Kモニターの使い心地はどうだろうか。現状は4K対応の映像コンテンツが限られているが、ビジネスクラスのシートは10年近く使われる。あと数年すると地上では携帯電話が5G中心の時代になるなど、今以上に高解像度の映像データを気軽にやり取りできるようになり、機内でもこうした映像を見たいというニーズが増えるだろう。その時に真価を発揮するのが4Kモニターだ。
しかし、現時点でもすぐに有用性を感じるのは、映像を楽しむよりもノートパソコンを接続してデュアルモニターで使う場合ではないだろうか。ノートパソコンと4Kモニターの接続は、モニター横の小物入れを開けると姿を現すHDMI端子を使用する。私はMacBook Proの13インチモデルを使用しており、USB Type-Cしか端子がないので、当紙もう一人の記者である小長谷祐介記者の私物「Digital AV Multiport アダプタ」とHDMIケーブルを借りて機内に持ち込んだ。
MacBook Proと4Kモニターを接続すると、すぐにデュアルモニター環境を使うことができた。私の本業は写真記者で、写真編集は主にAdobe Photoshop CC 2019、出稿カットのセレクトはAdobe Bridgeを使用している。機内では、サブモニターとした4KモニターにBridge、メインモニターのMacBook ProにPhotoshopを表示し、機内で撮った写真を編集してみた。視線の移動が縦方向なので、非常に快適にカットのセレクトから編集作業に進めることができた。
モニターの色合いも過度な色かぶりも感じられず、4Kモニター
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