ロールス・ロイスは、ビジネスジェット向けエンジン「パール」シリーズ最新の「パール700(Pearl 700)」を現地時間10月22日に発表した。ガルフストリームが21日に発表した最新鋭ビジネスジェットG700向けで、独占供給する。
パール700は、ビジネスジェット市場ではもっとも効率の高いというアドバンス2エンジンのコアと、最新の低圧システムを組み合わせた。離陸推力は1万8250ポンドで、BR725との比較では8%増となった。出力重量比を12%、効率を5%向上させながら、騒音と排気はクラストップの性能を維持しているという。
アドバンス2デモプログラムに基づく革新技術と、実証済みRB700エンジンの特徴を兼ね備えた。効率が高いエンジンでありながら、音速に近い速度マッハ0.925で飛行できる。高効率の51.8インチのブリスク(統合回転翼)ファン、市場トップクラスの圧力比24:1を誇り6段のブリスクを持つ高圧コンプレッサー、超低排出燃焼器、2段シュラウドレス高圧タービン、業界最小で効率の高い4段の強化低圧タービンを採用した。
ロールス・ロイスは、ビジネスジェット市場で3200基以上のエンジンを供給。2018年には、過去10年間で7つ目の民間航空機向けエンジンとしてパールエンジンを発表した。ガルフストリームへの供給は、約60年前にガルフストリームI向けダートエンジンを4500基提供してスタートした。
パールエンジンシリーズは、デジタルテクノロジーの進化でエンジンとサービスを一体的に提供するインテリジェントエンジンの姿を一部実現しており、高度な振動検知装置を導入した次世代エンジンヘルスモニタリングシステムや、最新のリモートエンジン診断機能などを備えている。双方向通信も可能で、エンジンモニタリング機能を地上から遠隔操作でき、クラウド型の分析機能やスマートアルゴリズム、人工知能(AI)を駆使した運用支援を実現している。
G700の大きさは全長33.48メートル、全幅31.39メートル、全高7.75メートル。航続距離は7500海里(1万3890キロメートル)、巡航高度は4万1000フィート(1万2497メートル)、最高巡航高度は5万1000フィート(1万5545メートル)、最大離陸重量は10万7600ポンド(4万8807キログラム)、最大着陸重量は8万3500ポンド(3万7875キログラム)、最大ペイロードは6385ポンド(2896キログラム)となっている。乗客数は最大19人になる。
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Pearl 700 (Rolls-Royce)
Gulfstream G700(Gulfstream)
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