エアライン, 空港, 解説・コラム — 2019年10月7日 05:01 JST

サンフランシスコは「古くて新しい街」 特集・65周年迎えたJAL米西海岸路線(1)

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 東京と豪州を結ぶ日本航空(JAL/JL、9201)の東京-シドニー線が、9月30日で就航50周年を迎えた。半世紀前の1969(昭和44)年は、国内では東名高速道路が全線開通。航空業界では、ジャンボの愛称で親しまれるボーイング747型機が初飛行し、エアバスとエンブラエルの歴史がスタートした年でもある。

 しかし、JALには半世紀を超える歴史を持つ路線が複数存在する。今年に限ると、5月28日に東京-ロサンゼルス線、7月30日には東京-台北線がそれぞれ就航60周年を迎えた。そうした中、JALでもっとも長い歴史を持つ国際線が、2月に就航65周年を迎えたJL1/2便の便名を有する東京-サンフランシスコ線だ。1954年2月2日、当時は羽田からウェーキとホノルル経由でサンフランシスコに乗り入れていた。現在は直行便となり、ホノルル線も独立した路線として就航65周年を迎えた。

 米国西海岸就航65周年を迎えた今年、JALは成田-シアトル線を27年ぶりに復活。シアトルを目的地とする渡航需要に加え、同地を拠点とするアラスカ航空(ASA/AS)とのコードシェア(共同運航)により、アジアと北米を結ぶ乗り継ぎ需要を取り込む体制も整えた。米国西海岸のJALの就航地は、65周年のサンフランシスコ、60周年のロサンゼルス、2012年12月2日就航のサンディエゴ、シアトルの4都市になった。

JALサンフランシスコ支店の小沢支店長。支店には就航当時の品々が今も残っている=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALにとって、国際線でもっとも長い歴史を持つサンフランシスコは、最先端企業が集うシリコンバレーにも近い。JALサンフランシスコ支店の小沢泰樹支店長に、羽田-サンフランシスコ線の現状を聞いた。

—記事の概要—
8割が最終目的地
日本人移住150周年
難題は機内食の味付け
北米-アジア需要も重視

8割が最終目的地

 東京-サンフランシスコ線が就航した1954(昭和29)年当時、機材はプロペラ機のダグラスDC-6Bで、座席数は36-58席。初のジェット機DC-8、ジャンボ機747の時代を経て、現在は747-400の後継機である777-300ERを投入している。座席数は4クラス244席で、所要時間は羽田発JL2便が9時間40分、サンフランシスコ発JL1便が10時間55分と、おおむね10時間のフライトだ。

サンフランシスコのケーブルカー。観光とビジネス渡航双方の需要がある街だ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 サンフランシスコといえば、ゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフ、ヨセミテ国立公園、ナパのワイナリーなど、観光名所が多くあり、日本人にも知名度が高い渡航先のひとつだ。一方でシリコンバレーをはじめ、西海岸のビジネスの中心になっている都市の一つでもある。

 小沢さんは「ざっくり言うと4割がビジネスのお客様で、日本からの出張や駐在されている方の利用です。日本人と外国人の比率は、だいたい6割弱が日本のお客様で、米国の方を増やしていきたいですね」と説明した。

 年齢層は学生からシニアまで偏りがない。「お客様からはロサンゼルス線とは雰囲気が違うね、と言われますね。確かにサンフランシスコは出張で利用される方も多く、ロサンゼルスの方が賑やかという印象を持たれているかもしれません」と、同じ西海岸の大都市であるロサンゼルスと違った雰囲気を、旅慣れた乗客も感じているという。

 米国の主要航空会社のうち、サンフランシスコはユナイテッド航空(UAL/UA)のハブ空港の一つだ。JALはダラス・フォートワース空港などを拠点とするアメリカン航空(AAL/AA)と提携しているので、乗り継ぎよりはサンフランシスコを最終目的地とする人が多い。「乗り継ぎはおよそ2割くらいで、サンフランシスコやサンノゼに出張で訪れたり、観光がいらっしゃる方が多いのではないかと思います。日本からの観光ですと、サンフランシスコ経由でラスベガスやフェニックスをぐるっとまわる方が増えている印象ですね」と小沢さんは話す。

 また、メジャーリーグやバスケットボール、アイスホッケーといったスポーツ観戦も、人気が高いという。今年9月3日には、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズが新本拠地とするチェイス・センターがオープンした。「スタジアムのまわりも建設ラッシュで、街が新しくなっていますね」と、新たな見所も増えているという。

日本人移住150周年

 「大きな催しやキャンペーンは特にやっていないのですが、65周年だとお伝えすると、そこまで長い歴史なんだね、と驚かれますね」と、小沢さんはサンフランシスコの企業などを訪問した際、意識的に65周年の話題を交えてPRしているという。

JALサンフランシスコ支店で保管されている就航当時の航空券やパンフレットなどの品々=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALサンフランシスコ支店に飾られているDC-8の模型=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは毎年4月に、サンフランシスコのジャパンタウンで開かれる「チェリーブロッサム・フェスティバル」に初回から協賛しており、今年で52回目を迎えた。かつてJALがナパに訓練所を設けていたころは、教官のパイロットや訓練生もボランティアで参加していたという、JALと結びつきが強いイベントだ。

 日系人との結びつきについて、小沢さんは「かなり強いですね。最初に日本から米国本土に移民した人たちが作った「若松コロニー」はカリフォルニアにありました」と話す。1869(明治2)年に会津藩の人たちがカリフォルニア州ゴールドヒルへ移住し、今年で150周年を迎えたことから、6月には記念式典も開かれた。

 一方で小沢さんは、米国内に第2次世界大戦中10カ所あった、日系人の強制収容所の存在も忘れてはならないと話す。「日系人といっても、ほとんどが西海岸の方でした。カリフォルニアにあったマンザナー強制収容所の跡地にはミュージアムがあり、私もロサンゼルスからバスで5時間ほどかけて行ってきました。われわれが日米の架け橋と思っているのであれば、日系人の歴史を理解することは避けては通れないことです」と、歴史的経緯を理解することの大切さを語った。

難題は機内食の味付け

 就航から65周年を迎え、アメリカン航空との共同事業(JV)を


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