ボーイングとエンブラエルは現地時間10月3日、エンブラエルの民間機事業を母体とするボーイングとの新会社を「Boeing Brasil – Commercial(ボーイング・ブラジル-コマーシャル)」と名付けたと発表した。
新会社の株式はボーイングが80%、残り20%をエンブラエルが保有。今年2月26日にエンブラエルの株主から新会社設立の承認を得た。正式な設立には各国の規制当局による認可が必要で、米国とブラジルは了承しており、欧州でも評価が行われている。新会社の設立時期は当初予定の年内からずれこみ、2020年初頭になる見通し。
エンブラエルは1969年8月19日設立で、当初は国営企業だったが1994年に民営化。現在はリージョナルジェット機世界最大手の地位にあり、今年8月には設立50周年を祝った。新会社の本社は引き続きブラジルに置き、民間機の設計や製造、サポートを、ボーイングのサプライチェーンに組み込んで展開していく。
現在の民間機は、エンブラエル170(E170)とE175、E190、E195の4機種で構成する「Eジェット」と、後継機種となるE2シリーズ。日本の航空会社も導入し、日本航空(JAL/JL、9201)グループで地方路線を担うジェイエア(JAR/XM)と、鈴与グループのフジドリームエアラインズ(FDA/JH)がEジェットを採用している。
3機種で構成するE2シリーズのうち、E190の後継となるE190-E2は2018年から引き渡しを開始し、E195の後継となるE195-E2は、9月から納入がスタートした。E195-E2の飛行試験機(登録記号PR-ZIQ)は、アジアツアーの一環として7月に日本に初飛来した。E175の後継となるE175-E2は、現在開発を進めている。
新会社が発足すると、ボーイングはE2シリーズなど70席クラスの機体から450席クラスの747-8までの旅客機と、777Fなどの貨物機を加えた民間機市場全体をカバーできるようになる。
また、ボーイングとエンブラエルは民間機に加え、エンブラエルの空中給油・輸送機KC-390の合弁事業の立ち上げも着手。合弁会社は市場開拓や販売促進を手掛け、エンブラエルが51%、ボーイングが49%を出資する。これにより、軍民とも小型機はエンブラエル、100席以上のサイズはボーイングと分担して、世界市場を攻められるようになる。
リージョナル機メーカーの動向
・エンブラエル、設立50周年 世界3位の民間機メーカーに(19年8月20日)
・エンブラエル、ボーイングとの民間機合弁会社を承認 年内設立(19年2月27日)
・ボーイングとエンブラエル、民間機の合弁会社設立へ MRJさらなる苦戦も(18年7月6日)
・ボーイング、エンブラエルと提携交渉 買収検討か(17年12月22日)
・エアバス、A220発表 Cシリーズを改称(18年7月10日)
・エアバス、Cシリーズ事業会社買収 ボンバルディアや州政府から(18年7月2日)
・ボンバルディアCシリーズ、米国販売に制裁なし ボーイング「失望した」(18年1月29日)
日本初公開となったE195-E2
・リージョナル機でも全席通路アクセス 写真特集・エンブラエルE195-E2 日本初公開(19年7月17日)
・E195-E2、羽田離陸しマニラへ 4時間半ノンストップ(19年7月17日)
・エンブラエル、羽田でE195-E2機内公開 ビジネスクラスは全席通路アクセス(19年7月16日)
・E195-E2、日本初飛来 ”TechLion”アジア太平洋ツアーで羽田到着(19年7月15日)
E190-E2搭乗記
・E190-E2 Media flight at Funborough Air Show 2018(YouTube)
・エンブラエル、E190-E2初のメディアフライト MRJ最大のライバル、ファンボロー開幕前に(18年7月16日)