エアライン, 空港 — 2019年10月2日 07:27 JST

JAL、羽田-シドニー「最有力候補」 就航50周年、海外発に課題も

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 日本航空(JAL/JL、9201)は現地時間10月1日、東京-シドニー線就航50周年を迎えたシドニー国際空港で記念式典を開いた。搭乗口では、成田行きJL772便の乗客に搭乗証明書などの記念品が配られた。9月30日夜にはシドニー市内で日豪路線就航50周年パーティーが開かれ、JALのスタッフが歴代制服と来春から導入する新制服を披露した。また、シドニー線の羽田移管についても言及があった。

シドニー空港で開かれた日豪路線就航50周年式典で歴代制服を着用したJALスタッフと記念撮影する乗客=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

—記事の概要—
歴代制服で50周年祝う
羽田最有力はシドニー

歴代制服で50周年祝う

 JALは50年前の1969年9月30日に、羽田-香港-シドニー線として東京とシドニーを結ぶ路線を週2往復で開設。機材はダグラスDC-8-62型機(2クラス146席:ファースト32席、エコノミー114席)で、初便となる羽田発シドニー行きJL771便(DC-8-62、登録記号JA8033、機体名称AMAKUSA)は翌10月1日にシドニーへ到着した。当初は給油のためにマニラを経由していたが、1970年5月24日からはマニラでの乗り降りが可能となり、羽田-香港-マニラ-シドニー線として東京とシドニーをおよそ16時間で結んだ。

日豪路線就航50周年パーティーで客室乗務員の(左から)4代目、5代目、6代目、7代目、8代目、9代目、10代目(2人)の歴代制服を披露したJALのスタッフ=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 1974年2月10日に香港への寄港を休止し、1975年4月2日にはマニラの寄港も取りやめ直行化。1978年5月20日に成田空港が開港後は成田発着となり、1981年7月3日からはシドニー線にジャンボの愛称で親しまれたボーイング747型機が就航した。また、定期便就航前の1963年9月6日には、羽田-シドニー間のチャーター便がDC-8-50で運航された。

 JALの日豪路線は現在、成田からシドニーとメルボルンへ週7往復(1日1往復)ずつ運航。成田-シドニー線の機材は787-9(3クラス195席:ビジネス44席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー116席)で、成田-メルボルン線には787-8(2クラス186席:ビジネス30席、エコノミー156席)を投入している。

 シドニー空港では1日に就航50周年式典が開かれ、搭乗口には客室乗務員の歴代制服を着用したJALのスタッフ8人が登場し、セレモニーに華を添えた。成田行きJL772便(787-9、JA861J)は、乗客187人(幼児0人)を乗せ、定刻より6分早い現地時間午前8時9分にシドニーを出発。成田には5分早着の午後5時に到着した。乗客には搭乗証明書やJALロゴ入りタオル、ボールペンが手渡された。

羽田最有力はシドニー

 JALの路線統括本部長の豊島滝三専務によると、シドニー線の需要は観光とビジネスがほぼ半々で、わずかに観光が多いという。搭乗率は90%前後と好調ではあるが、日本の夏にあたる8月前後のシドニー発需要が弱いなど、年間で見ると変動が大きい路線との認識を示した。

シドニー市内で開かれた日豪路線就航50周年パーティーであいさつするJALの豊島専務=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 豊島専務は就航50周年の節目を迎え、「この50年は決して平坦な道ではなかった」と振り返る。747をシドニー線に就航させた1981年から90年代にかけて、日本人の豪州観光ブームは最高潮に達し、JALでもケアンズやブリスベンへの路線を開設して需要に応じた。それでも供給が追い付かずに、カンタス航空(QFA/QF)から機材を借りて運航していた時代もあったという。

 その後、日本国内の景気低迷などにより日豪間の航空需要は激減。JALもほとんどの豪州路線から撤退した。しかし、シドニー線は高需要に支えられ、50年間一度も途切れることなく運航を継続してきたという。「(日豪)双方向の流れは年間100万人と、過去最高の水準に達している。JALも2017年9月にメルボルン線を開設し、需要拡大に対応している」(豊島専務)と、近年の好調ぶりをアピールした。

 2020年3月29日からの夏ダイヤで拡大する羽田国際線の昼間時間帯発着枠は、豪州路線の枠をJALも獲得している。具体的なルートは検討中としながらも、豊島専務は「シドニー線は最有力候補」と50周年パーティーの場で語り、羽田-シドニー線の開設を示唆した。

 50周年の記念日を“次の50年への初日”と表現した豊島専務は、「みなさまからは『さらにほかの都市へ』との声をいただいている。今後は日豪ネットワークのさらなる拡充を目指していきたい」と、次の節目へ向けての抱負を語った。

*写真は15枚。

日豪路線就航50周年パーティーで客室乗務員の4代目から現行10代目までの歴代制服を披露したJALのスタッフ=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

日豪路線就航50周年パーティーで2020年4月から着用予定となる客室乗務員の新制服を披露したJALのスタッフ=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

日豪路線就航50周年パーティーに招かれ太鼓を披露するシドニー在住の太鼓パフォーマー=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

日豪路線就航50周年パーティーで来場者に振舞う寿司を握る寿司職人=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

日豪路線就航50周年パーティーで客室乗務員の(左から)4代目、5代目、6代目、7代目、8代目、9代目、10代目(2人)の歴代制服を披露したJALのスタッフ=19年9月30日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

東京線就航50周年を迎えたシドニー国際空港で出発を待つJALのシドニー発東京行きJL772便=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

シドニー空港で成田行きJL772便に搭乗する乗客=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

シドニー空港で成田行きJL772便の搭乗口で乗客に記念品を手渡すJALのスタッフ=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

シドニー空港で成田行きJL772便の乗客に配られた記念品=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田発シドニー行きJL771便エコノミークラスの機内食=19年9月29日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

シドニー発成田行きJL772便エコノミークラスの機内食=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

シドニー発成田行きJL772便エコノミークラスの2食目機内食で提供された記念デザート。約1カ月間提供する=19年10月1日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

運航スケジュール(10月26日まで)
JL771 成田(19:20)→シドニー(翌日06:10)
JL772 シドニー(08:15)→成田(17:05)

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