9月26日午前7時すぎ、伊丹空港の南ターミナル保安検査場で、全日本空輸(ANA/NH)から委託を受けた警備会社「にしけい」(福岡市)の係員が、男性客の手荷物からナイフを発見したが、誤って返却してしまったとANAに報告があった。ターミナルを運営する関西エアポート(KAP)などによると、この影響で南北にある保安検査場のうち、男が通過した南側は午前9時30分ごろから午前11時59分まで約2時間30分にわたり閉鎖となった。ANAによると、羽田線を含む伊丹発着の28便が欠航になった。
*続報はこちら(19年10月2日掲載)。
国土交通省によると、男性が持っていたのはアーミーナイフ。航空法第86条では、刃物をはじめとする危険物の機内への持ち込みを原則禁止しているが、にしけいの係員は男から持ち込んで問題ない旨の説明を受け、保安検査を通過させた。
ANAは保安検査場の入場を停止後、搭乗済みの乗客も降ろして再検査を実施。午前11時44分までに、南側保安検査場を通過したすべての乗客を一般エリアに誘導し、正午から保安検査を再開した。国交省などによると、男は伊丹発便に搭乗したとみられる。
ANAの伊丹発着28便が欠航したことで、約3800人に影響が出た。また機材繰りなどの4便を合わせると32便が欠航になった。北ターミナルの保安検査場を使う日本航空(JAL/JL、9201)の運航便には、直接影響はなかった。
国交省は9月13日以降、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、全国の空港で保安検査を強化している。
にしけいでは、3年前の2016年9月30日に、福岡空港で搭乗手続きを済ませていないANAの羽田行きNH256便(ボーイング777-200ER型機、登録記号JA742A)の乗客を、保安検査場で通過させた事例があった。
男の事例の場合、航空法上の罰則は罰金刑だが、司法の判断によっては他の法律違反と合わせて懲役刑になる可能性もある。
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