日本航空(JAL/JL、9201)は9月4日、成田空港で働く地上係員(グランドスタッフ)の接客技術を競う「N-1グランプリ 2019」を開いた。9人の出場者の中から、空港オペレーション第1部の宮里ミッシェル光さんがグランプリに輝いた。全国の地上係員が接客技術を競う11月の本選に出場する。
N-1グランプリは、前身となるアナウンス技術のコンテストが発展し、広範囲な接客技術が審査の対象になった。“N-1”は「成田のナンバー1」の意味で、昨年は旅客システム刷新作業のため開かれず、2年ぶり6回目の開催となった今年は、3つの部署から予選や選考を勝ち抜いた9人が参加。アナウンスと接客の2項目で成田のナンバー1に挑んだ。
—記事の概要—
・ロールプレイは4つのシナリオ
・3人が本選出場
ロールプレイは4つのシナリオ
今回のアナウンス審査では、搭乗ゲートでイレギュラーが発生したことを想定した内容で、「正しさ」「優しさ」「わかりやすさ」をポイントに審査。課題は、「雷雨のために地上作業が中断し、30分後に天候回復の見込みのなか、出発時刻が未定の状況」とされ、日本語と英語による3分程度のアナウンスを10分の持ち時間で作成した。
乗客へのお詫びの気持ちを前面に出す人や、不安を取り除くことを最優先にする人など、アナウンス内容や話し方に出場者それぞれの個性が見られた。
ロールプレイは、チェックインカウンターの接客を対象に、「またこの人に会いたい、またJALを利用したい」と感じられるサービスができているかを審査した。自動チェックイン機で手続き後、機械から出てきた受託手荷物のタグを手にして困っている様子の乗客や、白い杖を持った目の不自由な乗客など、4つの条件を設定。伝える内容がわかりやすくシンプルで、さらに話を広げられるかといった会話力が求められた。
一方、応対のスピードも審査の対象になり、5分の設定時間で4組目の乗客まで対応できた出場者はおらず、ほとんどが2組目の途中で終了となった。
3人が本選出場
審査の結果、優勝の宮里さんのほか、準優勝に空港オペレーション第3部の八瀬邉真子さん、審査員特別賞は空港オペレーション第2部の鈴木里菜さんが選ばれた。
優勝を告げられた瞬間、宮里さんは手で顔を覆い、目にうっすらと涙を浮かべた。宮里さんは「率直に、とても嬉しいです」と、受賞の喜びを言葉にした。
ロールプレイでは緊張でうまく会話を広げられなかったことが反省点という宮里さんは、「今日の悔やんだ点を次へと生かし、優勝を目指して頑張っていきたい」と、本戦出場に向けて気持ちを新たにした。一方、アナウンス審査では「お客様に『安心してください』という言葉をお伝えできたのがよかった」と、笑顔を見せた。
11月に全国の地上係員が接客技術を競う本選「第7回空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」には、優勝の宮里さんと準優勝の八瀬邉さん、N-1が開かれなかった昨年、地上係員が所属するJALのグループ会社JALスカイが成田と羽田で実施した接客コンテストで成田1位に選ばれた黒岩晶子さん(空港オペレーション第3部)の3人が、成田代表として出場する。
*写真は15枚(写真下に出場者名掲載)
N-1グランプリ2019出場者(敬称略、括弧内は所属)
長谷川 真麻(空港オペレーション第1部)
畔上 育実(空港オペレーション第3部)
篠田 佑希(空港オペレーション第2部)
宮里 ミッシェル光(空港オペレーション第1部)優勝、出場権獲得
岡田 葵(空港オペレーション第2部)
松藤 思央梨(空港オペレーション第3部)
鈴木 里菜(空港オペレーション第2部)審査員特別賞
八瀬邉 真子(空港オペレーション第3部)準優勝、出場権獲得
滝元 晴香(空港オペレーション第1部)
前回N-1グランプリ2017
・JAL、成田空港の接客No.1に松野さん 地上係員の全国大会進出(17年10月5日)
第6回空港サービスのプロフェッショナルコンテスト
・JAL、空港接客No.1に羽田・永見さんと釜山・キムさん 聴覚障がい対応も(18年3月3日)
・「どうしたら伝わるか」同僚からも学ぶ 特集・JAL空港接客No.1 永見さんに聞く(18年10月28日)