日本航空(JAL/JL、9201)は8月31日、沖縄で開かれるLGBT(性的少数者)への理解促進を図るイベント「ピンクドット沖縄2019」(主催:同実行委員会)に合わせ、「JAL LGBT ALLYチャーター」を羽田から那覇まで運航した。ALLY(アライ)は理解者や支援者の意味で、チャーター便の運航を通じてLGBTに対する理解につなげる。
ピンクドット沖縄は、「LGBTなどの性的マイノリティが、より生きやすい社会を」と願う人たちが、その思いを表すためにピンク色のものを身につけて集まり、LGBTへの理解促進を図るイベント。2013年から毎年1回開かれ、7回目となる今年は9月1日に開催する。JALは、多様な人材が活躍する環境の創造に取り組む一環として、性的少数者を対象としたLGBTチャーターを日本で初めて企画した。
JL2424(虹にじ)便として運航した羽田発那覇行きLGBTチャーター(ボーイング737-800型機、登録記号JA306J)は、参加者90人(幼児2人含む)を乗せて羽田を午前6時14分に出発し、午前8時56分に到着した。羽田の搭乗口ではレインボーアーチが置かれ、記念撮影の列ができた。レインボーカラーの旗を飾った機内は、シートに専用ヘッドカバーを用意し、6色のレインボーカラーを表現した「レインボー弁当」を配った。
LGBTチャーターには、関連イベントなどで活躍するゲストも招かれ、機内を盛り上げた。ドラァグクイーン(女装家)のドリアン・ロロブリジーダさんは、全身ピンクの衣装に身をつつみ、トークや記念撮影などで参加者をもてなした。自らゲイだと公表して活動するシンガーソングライターの清貴さんは、チャーターのメインゲストとして登場。客室最後方までゆっくりと歩きながら、最新曲「虹の向こうへ」を振り付きで熱唱した。
担当したパイロットと客室乗務員は、LGBTのALLYで揃えた。チャーターのPIC(運航責任者)を務めた大地真吾機長は、これまでに社会的マイノリティー(少数派)といわれる人たちへの垣根を低くしたり、なくす活動に参加してきたという。
客室責任者を務めた菊池真由理さんは、到着時のアナウンスで「多様性は特別なことではない」とし、「お互い理解できないことがあっても受け入れて尊重することが大切で、誰もが自身を偽らず住みやすい社会になることを目指していきたいです」と話し、LGBTへの理解を示した。
LGBTは、女性同性愛者の「レズビアン(L)」、男性同性愛者の「ゲイ(G)」、両性愛者の「バイセクシャル(B)」、心と体の性が不一致の「トランスジェンダー(T)」の頭文字をとった性的少数者の総称。2018年の電通(4324)調査によると、日本人の8.9%がLGBT層に該当するという。LGBTに該当しない人は「ストレート」などと表現される。
LGBTの尊厳と社会運動を象徴する「レインボーフラッグ」は、赤と橙(だいだい)、黄、緑、青、紫の6色を用いたもので、LGBT関連のイベントやグッズなどで多く見られる配色。赤は生命、橙は癒やし、黄は太陽、緑は自然、青は調和、紫は精神を表し、今回のチャーターでも搭乗口や機内の装飾など、さまざまな形でレインボーカラーが使われた。
JAL LGBT ALLYチャーターの運航実績(括弧内は定刻/実績)
JL2424 羽田(06:10/06:14)→那覇(08:40/08:56)
・JAL、旅に出たいお年寄りの思い実現 大分へ介護予防チャーター(18年11月4日)
・JALとANA、4度目のなでしこ銘柄 経産省と東証、48社選出(18年3月22日)
・JAL、愛犬と沖縄へ 機内も一緒、ワンワンJET第2弾(18年3月8日)
・ANA、LGBTへの対応強化 ファミリーマイルでパートナー登録(16年6月23日)