国土交通省航空局(JCAB)と同省東京航空局は8月20日、航空機内装品大手のジャムコ(7408)に対して業務改善命令を行った。9月17日までに、再発防止策を文書で報告させる。
国交省は、今年1月から7月にかけて立入検査を複数回実施。ジャムコの外注部門の社員が委託先担当者の複製印鑑を保有し、押印漏れや誤記修正が必要な部品表に代わりに押印していたり、製造を委託した部品の検査を2015年8月24日から9月3日にまでの11日間にわたり、無資格の検査員訓練生が実施していたことが確認された。
要因や背景として国交省は、ジャムコが事業拡大や業務増加に対応した検査員の育成や増員を適切に行わずに納期を優先し、安全意識やコプライアンス意識が現場で働かなかったことを挙げた。また、JCABが品質管理体制を認めた「認定事業場」となっている同社の工場で、必要な安全管理システムが十分に機能していなかったことも認められたとしている。
国交省はジャムコに対し、出荷品の安全性の検証や、問題が起きた要因や背景の分析、再発防止策の策定を命じた。
ジャムコによると、調査の実施や業務の見直し、改善策の反映などにより、一部製品の出荷に遅延が発生。第2四半期までは売上高の減少などの一時的な影響が見込まれるものの、注文取り消しや大規模なリコールに発展する事例には至っておらず、通期の業績見通しに変更はないという。同社は今年3月にも、100%子会社の宮崎ジャムコ(宮崎市)で無資格検査が行われていたと発表している。
同社ではボーイングやエアバスの機体向けにギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)を製造しているほか、787やA350向けのシートも製造。全日本空輸(ANA/NH)のA380や777-300ER新仕様機の国際線ファーストクラス、JALのA350-900の国内線ファーストクラスも、ジャムコがシートを製造している。
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ジャムコ
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