1月16日に高松空港へ緊急着陸した全日本空輸(ANA、9202)のボーイング787型機(登録番号JA804A)でのバッテリー発煙トラブルについて、国土交通省・運輸安全委員会(JTSB)は3月27日、煙が出たメインバッテリー以外の周辺機器や配線に大きな電流が流れた形跡はみられなかったと発表した。
一方、バッテリー外箱の内部と外箱のアース線付近には大きな電流が流れた可能性が考えられるとし、バッテリー内部や充電器との接続に何らかの不具合や問題があった可能性を考慮して調査を続けるとした。現時点では根本的な原因は判明しておらず、調査には時間がかかる見通し。
JTSBによると、バッテリー内のリチウムイオン電池のセル8つのうち、5つでアーク(電気火花)が飛んだ跡が12カ所あり、セルの入ったステンレス製ケースには穴が約10カ所あった。ステンレスは約1400℃で溶けるため、アークによる高熱で穴が開いた可能性があり、バッテリー内部で大電流が発生したとみられる。また、普段は大電流が流れない外箱のアース線が断線していた。
周辺機器については、過電圧が生じた際に作動するコンタクタ-が作動していないことやヒューズが切れていないこと、ケーブルに大電流が流れた形跡がないことなどが確認された。
JTSBの調査官は「大電流がなぜ発生したかはわからないが、バッテリー内部で大電流が発生し、外箱に流れた」と説明したが、根本的な原因や問題の発生箇所は特定できていないという。
今後の調査の見通しについて、JTSBの後藤昇弘委員長は「我々としては運航者の判断とは別に、学問的にはっきりしないと納得できない」として、調査を継続する方針を示した。
787のトラブルを巡っては、ボーイングが今後数週間程度での運航再開を示唆している。
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