全日本空輸(ANA/NH)は、長距離国際線に投入しているボーイング777-300ER型機の客室をリニューアルし、8月2日から羽田-ロンドン線に投入する。同社の空港ラウンジ監修も手掛ける建築家の隈研吾氏と、英国のデザイン会社Acumen(アキュメン)がデザインを監修した。
新仕様機のファーストとビジネスはドア付きの個室タイプで、機内の個人用モニターとしては世界初となる4K対応モニターを採用。隈氏によると、ドアは日本家屋の引き戸をイメージし、配色も従来はANAのコーポレートカラーであるブルーを基調としていたが、日本の建築を想起させる落ち着いたものに刷新した。
新仕様の777-300ERの座席数は4クラス212席。ファーストが8席、ビジネスが64席、プレミアムエコノミーが24席、エコノミーが116席で、全クラスに電源コンセントと充電用USB端子を設けた。従来機にも212席仕様があるが、新仕様はビジネスが4席減となる一方、エコノミーが4席増えた。
ファーストクラス「THE Suite」のシート配列は、1-2-1席の1列4席。5つ星ホテルのような空間を目指した。個人用モニターは43インチと、現行の23インチから大型化し、機内用モニターでは世界初となる4K対応で、今後は映画なども順次対応させていく。
パーティションは可動式で、中央席はペア利用にも対応。隣同士で空の旅を楽しめるようにした。窓のシェードは電動式のものを採用し、高級感のあるものになった。開発はエアバスA380型機用のファーストとほぼ同時に進められ、いずれも日本の航空機内装品大手のジャムコ(7408)が製造している。
同社のラウンジデザインと通じる点について、隈氏は「和のテイストを取り入れ、木を使うことがくつろぎにつながる」と話し、日本建築の良さを機内にも取り入れ、木調パネルを多く配した空間になった。
また、ファーストとビジネスのシートクッションは、西川と共同開発して座り心地や寝心地をよくした。クッション作りでは、これまでKIホールディングス(旧小糸工業)の航空機用シートで実績のある横浜フォームラバーが協力した。読書灯や食事灯などのライトはパナソニック(6752)が監修。用途に応じた位置や色を設定した。
ANAは新仕様の777-300ERの新造機6機を年内に導入予定。既存機も6機を2020年から2021年までに改修する。12機の導入後は、今後検討していくという。ロンドン線は8月末から9月上旬ごろにデイリー運航になる計画で、2路線目はニューヨーク線を予定している。
本写真特集では、ファーストクラスのシートを取り上げる。
*写真は24枚。
*ビジネスクラス編はこちら。
*プレエコ・エコノミー編はこちら。
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