経済産業省とフランス民間航空総局(DAGC)は現地時間6月17日、日本企業と仏サフランの民間航空機産業での協力強化について合意し、パリ航空ショーの会場で署名式を行った。経産省が日本企業の航空機産業への進出を支援し、サフランはこれらの企業が持つ技術の実用化などを進める。
サフランは航空機用装備品の最大手の1社。フランスに本拠地を置き、航空機のエンジンやランディングギア(降着装置)、ナセル、シート、内装品などを手掛けている。
今回の合意に基づき、経産省とサフランは航空機の電動化やハイブリッド推進システム、AI(人工知能)などの革新的技術の分野や、航空機向けの材料やシステム、機器などの製造、日本を含むアジアでのサプライチェーンの構築などで協力していく。
経産省とDAGCは、民間航空機産業の分野で協力覚書を2013年6月に締結しており、今回の合意はこれに基づくもの。また、経産省は米ボーイングとも航空機の技術協力について、今年1月に合意している。
経産省航空機武器宇宙産業課の畑田浩之課長によると、欧米企業がアジアでサプライチェーンを築く際、同じアジアの日本企業が現地指導などをする方が、円滑に進むケースが考えられるという。また、サフランが持つ航空当局から認証を取得する際に必要な知見を生かし、航空機用装備品に日本企業が持つ技術を役立てていくことなどを視野に入れている。
こうした提携関係を事前に築いておくことで、畑田課長は「技術の変わり目に、日本企業が参入できれば」と話す。すでにプレーヤーがいる分野で価格競争に陥るよりは、革新的な独自技術を武器に、付加価値を高めて装備品分野に参入していくビジネスモデルを想定しているという。
関連リンク
経済産業省
Direction générale de l’aviation civile
Safran
・ボーイングと経産省、技術協力で合意 CTO「日本は特別な国」(19年1月15日)