関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)は6月4日、月末で退任するエマヌエル・ムノント副社長の後任となるブノア・リュロ専務執行役員・最高技術責任者(CTO)の経歴に誤りがあったとして訂正した。
KAPは新たな副社長として、リュロ専務が昇格する人事を5月30日に発表。経歴には、羽田空港のターミナルなどを運営する日本空港ビルデング(9706)の「顧問(英文発表はAdviser)」を、2013年8月から務めたと記載があった。
しかし、実態は同社で行われた「EUビジネスマン日本研修プログラム」の研修員として、同年8月から9月まで参加していただけだった。
KAPで対外情報発信などを統括する西尾裕・専務執行役員は、「本人に確認したが行き違いがあった。以後注意したい」と説明した。
KAPは、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が2015年12月に設立。オリックスとヴァンシが40%ずつ出資し、オリックス出身の山谷佳之社長とヴァンシ出身のムノント氏が代表権を持っている。ムノント氏は30日に開催予定の株主総会で退任し、リュロ氏が代表権を引き継ぐ。
KAPによると、同社の取締役の任期は1年で、ムノント氏の退任は会社の立ち上げから約3年が過ぎたことや、ヴァンシ側の人事によるものだという。航空会社などから批判が相次いだ、2018年9月の台風対応に関する引責辞任との一部の見方は否定している。
ブノア・リュロ氏略歴(訂正後)
1977年6月15日生
2003年9月 フランス民間航空総局 航空管制部交通研究室長
2008年9月 在日フランス大使館 経済参事官 交通・建設・エネルギー・環境担当
2015年1月 三菱重工業 欧州企業事業開発
2016年1月 関西エアポート 専務執行役員 最高技術責任者(CTO)(現職)
・関空、護岸工事で警備センサー一時オフ 国交省、山谷社長を厳重注意(19年6月3日)
・関西エアポート、ムノント副社長退任 後任にリュロ専務(19年5月30日)
・関空18年度、2940万人で過去最高 国際線、2年連続で2000万人超え(19年4月26日)
・関空の災害時、山谷社長が意思決定 浸水対策に3本柱(18年12月14日)
・関空、国交省が復旧プラン 運営会社主導に“見切り”(18年9月8日)
・関空、3000人超が孤立 作業車両も冠水し再開未定、コンビニ食料尽きる(18年9月4日)
・オリックス・ヴァンシ連合、新関空会社と運営権契約 関空・伊丹民営化(15年12月15日)