FAA(米国連邦航空局)は現地時間6月2日、ボーイングの最新小型機737 MAXと従来機737NG(次世代737)の主翼部品「前縁スラットトラック」の一部が不適切に製造された可能性があるとして、該当部品を速やかに交換するよう通達した。
FAAによると、対象となるのは全世界で737 MAXが179機、737-800など737NGが133機の合わせて312機。ボーイングの下請け企業が製造した最大148の前縁スラットトラックについて、不適切な製造工程により早期故障や亀裂が入る可能性があるという。
前縁スラットトラックが完全に故障しても墜落には至らないものの、故障部分が飛行中の機体の損傷につながるおそれがあるとFAAは説明しており、運航する航空会社に対して対象部品が使用されているかを調査し、使われている場合は10日以内に交換するよう求めた。
ボーイングによると、問題のある部品を使用した可能性がある21機の737NGと、20機の737 MAXを特定したという。部品交換には1日から2日程度掛かる見通し。
2機種のうち、墜落が相次いだ737 MAXは飛行停止中。737NGは、日本の航空会社では日本航空(JAL/JL、9201)とグループの日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)とANAウイングス(AKX/EH)、スカイマーク(SKY/BC)、エア・ドゥ(ADO/HD)、ソラシドエア(SNJ/6J)、SPRING(春秋航空日本、SJO/IJ)が運航している。
ボーイングの受注履歴によると、4月末時点で737 MAXは5008機の受注に対して387機を引き渡し済み、737NGはビジネスジェットを除くと6869機を受注し、6806機を納入している。
関連リンク
Federal Aviation Administration
Boeing
ボーイング・ジャパン
737 MAX墜落事故
・737 MAX、MCASのソフトウェア改修完了(19年5月18日)
・737MAX、迎角不一致警告に不具合 17年に判明も対応遅れ(19年5月6日)
・737 MAX、迎角不一致警告を標準装備に(19年4月30日)
・737 MAX、墜落2件ともMCAS不具合 月産42機に減産へ(19年4月7日)
・エチオピア政府、737 MAX墜落で暫定報告書公表 ボーイングにMCAS調査要求(19年4月5日)
・マレンバーグ会長「安全はボーイングの核心」 737 MAXソフトウェア改修へ(19年3月20日)
・仏事故調、737 MAX墜落「明確な類似性」 エチオピア機とライオンエア機の飛行記録解析(19年3月19日)
・737 MAXの墜落調査、仏で開始 エチオピアが米国に不信感、ボーイングは納入停止(19年3月15日)
・日本も737 MAX運航停止 国交省、FAA決定受け(19年3月15日)
・FAAも737 MAX飛行停止命令 エチオピア機墜落で(19年3月14日)
・737 MAX、欧州で飛行停止 EASAが指示(19年3月13日)
・墜落のエチオピア航空737 MAX、フライトレコーダーなど回収(19年3月11日)
・エチオピア航空の737 MAX墜落か ナイロビ行きET302便(19年3月10日)
・ライオンエアの737MAX墜落、迎角センサーに異常か FAAがAD発行(18年11月8日)
・ライオンエアの737 MAX墜落 インドネシアLCC大手(18年10月29日)