関西空港を運営する関西エアポート(KAP)が高潮対策の護岸工事を行った際、工事の関係で警備用センサーを一時切り、巡回警備で代用していたことがAviation Wireの取材でわかった。G20サミット開催を控え、警備を強化している警察や海上保安庁などが問題視し、山谷佳之社長が国土交通省から厳重注意を受けた。
関空は2018年9月の台風21号の影響で、第1ターミナル側のA滑走路が最大約50センチ冠水するなど、大きな被害を受けた。これを受け、KAPは約541億円の事業費を掛けて護岸対策や浸水被害の防止など、防災機能の強化を進めている。
問題となったのは、1期島東側の護岸工事。護岸のかさ上げを進める際、4月に警備センサーを一時的に切る必要が生じ、巡回警備で対応した。
KAPは、過去にも通常期に同様の対応をした経緯があったことから、今回も問題はないと判断した。一方、日本初となるG20サミットが6月28日から大阪で開催されるため、警察などがKAPの危機管理体制を問題視し、監督する国交省が山谷社長を厳重注意した。
KAPは、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が設立し、オリックスとヴァンシが40%ずつ出資。台風21号の対応では社内に混乱が生じ、航空会社などから是正を求める声が出たことから、2018年12月に非常時の意思決定を山谷社長に一元化すると発表している。
今回の警備体制の不備に対し、KAP経営陣の危機管理意識が台風被害後も依然として低いことを問題視する声が、関係者から出ている。
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