全日本空輸(ANA/NH)とパナソニック(6752)は5月16日、成田空港で自動追従型の電動車いす(パーソナルモビリティ)の実証実験を開始した。高齢者など車いすを必要とする利用客の、国際線から国際線への乗り継ぎをサポートする。安全性や操作性などを検証し、今後の正式導入に向けた検討を進める。
—記事の概要—
・時速4キロで追従
・車いす1便あたり30人
時速4キロで追従
使用するのはパナソニックとWHILL(横浜市)が共同開発した電動車いすで、先頭の1台を係員が有線リモコンで操作し、ほかの車いすが自動追従する。時速4キロで走行し、前を走る車いす後部の追従用反射板を、後ろの車いす前部に備えたセンサーで読み取って追従する。最大10台まで追従し、1回の充電で10キロ程度走行できる。
重さは75キロで、最大100キロまで搭載可能。後部には荷物を置けるスペースも設ける。シートの左には操作用のタブレットを設置し、走行中に停止させたい場合などにタップすると、係員に通知される仕組み。車列に人が横切った場合など、衝突の恐れがあると判断した場合、自動停止する機能も備える。
車いす1便あたり30人
今回の実証実験では、3台の車いすで検証を進める。ANAが利用する、成田空港第1ターミナル3階に到着した乗り継ぎ客は、電動車いすに乗り4階の乗り継ぎ検査場に移動する。検査を受けた乗り継ぎ客は3階の出発階に戻り、出発便に搭乗する。先頭の1台をANAの地上係員が有線リモコンで操作し、ほかの2台が追従する。
高齢者をはじめとした、乗り継ぎ時の移動に不安を抱えている旅客の利用を想定する。
ANAは、アジア各国と北米間での乗り継ぎを考慮したスケジュールを設定している。乗り継ぎ時に車いす利用を求める旅客も多く、1便あたり30人程度、1日約350人が車いすを利用。中でもベトナムやフィリピン、インドからの乗り継ぎが多いという。
現在は手押しの車いすを用意。1台につき1人の地上係員が付き添い、乗り継ぎをサポートしている。手押しの車いすには荷台が付いておらず、旅客は荷物を膝の上に載せるなどして移動している。
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